ここ数回、植物の生理現象について述べてきました。
前はアレロパシーについてで、簡単に復習すると、植物は他の動植物に対して、さまざまな影響を与えるための物質をつくります。
これらの多くは、他の植物の生育を抑制して、自分の生育を促進するものです。
ただし、これは往々にして、自分と同じ種類の植物の生育も抑制することから、連作障害の原因の一つと言われています。
連作障害とは、同じ場所で同一作物を育てて行くと次第に生育不良になって行く現象のことを言います。
連作障害の原因はまだ十分に解明されていないそうですが、上述のアレロパシーの他にも、
1)その植物を食べる病害虫が繁殖すること
2)その植物が必要とする微量栄養分が少なくなること
等が一因とされています。
例として、前回にも出ましたが、セイダカアワダチソウは他の植物の生育を抑制する物質を根から出して、自分だけが繁殖しやすい環境を作ろうとしますが、逆にその物質で自分の子孫の生育が抑制されて、最近ではあまり増えていません。
あるいは、エンドウマメ等はマメ科なので空気中の窒素を養分として取り込むことができること(第42号、「根粒菌」参照)、春先の比較的低温で生育すること、つる性で地面を覆い尽くすこと、等の繁殖に有利な特徴を多く持ちます。
だからといって、放っておいたら他の植物を駆逐してしまうわけでもなく、実際は連作障害の強い作物として、一度作付けしたら、何年かは別のものを作ることを勧められています。
このような連作障害の現象を見ていると、単一の種類の生き物だけが繁栄することを嫌う神の意思があるように感じられます。
さまざまな植物がアレロパシーの物質等を武器に、エゴむき出しに自己の生存、繁殖をはかって、その結果多様な生物相が繁栄します。
と、このように書いて行くと、大昔の若い頃、歴史の時間で習ったアダムスミスの話を思い出しました。
個人が自分の利益を追求することによって、結果として社会全体が豊かになっていくとかいう、市場経済のもとになる考えを述べた人です。
アダムスミスは、神の見えざる手に導かれて、社会が豊かになる方向に個人が舵取りする、と考えたようです(うろ覚え)。
実際に、ソ連をはじめとする計画経済の国々はほとんど消滅してしまい、市場経済の優位性が決定づけられました。
でも当然ながら、単なる放任では問題があます。
つい最近でも○リエモンとか、村○ファンドの事件、あるい
はリーマ○ショックなど色んなトラブルが発生しています。
(この年になると、数年前の事件も「つい最近」ということになります。)
従ってある程度は法規制やら、市場介入によって経済の健全化をはかる必要があります。
農作物も同じです。
植物が各々勝手に生育していても、人間の都合には必ずしも合わなくなります。
人間にとってはむしろ、単一の植物のみ連作したほうが、効率もいいし経済原理からも有利です。
このように、自然の原理と人間の都合の二つを両立させる必要があり、このために発達したのが輪作、混植技術です。
ぐだぐだとどうでもいい前振りばかりで、ほとんど重要なことを述べないうちに長くなってしまいました。
次回連作障害と輪作、その2に続きます。
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