今回は、特段の理由もなく箕について調べてみました。
箕は、ちり取りのゴミを入れる部分のような形をしたもので、主に竹で出来ている農業用具です。
収穫物、例えば穀物や豆等から、ゴミを取り除く時に使います。
使い方は、脱穀した後のゴミの混ざった穀物を箕に入れ、両手で持ってあおぐように上下に動かします。
すると、箕の中の穀物が激しく動き、それとともに箕の先端が扇の役目をして風が起こります。
これにより軽いゴミが吹き飛ばされて、穀物だけが残って選別されます。
と言ってもなかなか難しいものです。
私もやったことがありますが、うまく選別できずに中の穀物が箕からこぼれ落ちてしまい、すぐにイライラしてやめました。
これに対し、近所のおばあさんがやっているのを見せてもらうと、それは見事なものでした。
穀物は一粒も落ちずに、ゴミだけが見る見るうちに除去されていきます。
よく見ていると、両手を同時に動かさずに、ほんのわずか時間をずらして上下させています。
それにより、穀物が箕の中でぐるぐる回っているような感じで動きます。
このように上手に使っているのを見ると、箕のような昔ながらの道具も現役でまだまだ使えることが再認識されます。
箕の歴史は古く、弥生時代にはすでに使われていたようです。
もともとは、アジア・・・インド、中国、朝鮮半島、日本(本土)で使われていたそうです。
同じアジアでも東南アジアの島々や台湾、沖縄ではこのような形ではなく、円形のざるのようなものを使っていたそうです。
ついでながら、ヨーロッパでは18世紀始めにアジアから伝わるまでは、このような道具は用いられていませんでした。
シャベルのようなもので穀物を上に放り投げ、風で選別していたそうです。
18世紀に農業革命が起こって人口が急激に増大しましたが、これに箕や唐箕(羽を回転させて風を起こしながら穀物のゴミを取る道具)が大きな役割を果たしたことは容易に想像できます。
農民画家として有名な、ミレーも1848年に「箕をふるう人」という作品を描いています。
話は日本に戻って、箕は単なる農具のみならず、呪術性のある道具として色々な儀式でも用いられています。
箕を使うことにより食べられる(=生命の源となる)穀物と食べられないゴミ(藁クズや昆虫のカスなど、死んだもの)に選別できる、ということから生死を司る神具と考えられたのでしょうか。
いくつか、面白いと思ったものを挙げてみます。
子供が一歳の誕生日になったときに誕生祝いに幼児に一升餅を背負わせますが、このときに箕を使うことがあります。
子供に背負わせて箕の上に立たせたり、「物選び」といって箕の中に道具を入れて将来の度し仕事を占ったりします。
我が家でもやりました。
あと、時々聞くのがおまじないの捨て子です。
これは厄年に生まれた子供とか、体の弱い子供を、橋のたもとに捨て、あらかじめ打ち合わせてあった知人が拾い、元の親に「育てますか?」とお伺いを立てて返す、というものです。
このときに捨て子を拾って箕の上において運搬したそうです。
ちょっと変わったところでは、漁村等で夫婦が性交する際に、訪問者が来ないように入り口に箕を立てかけておいて合図にした、という話もあります。
このほか、十五夜や大晦日のお供えの容器や、正月の歳神様のお迎えに使ったり、難産の妊婦や不妊の嫁に贈ったりと、実に多様な使われ方があるようです。
特に意味ものなく取り上げてみたのですが、実は箕は奥の深い農具のようでした。
参考にした本
三輪茂雄 粉の秘密・砂の謎 平凡社
食べ物や身の回りの粉について工学研究者の立場から書かれた、
面白い本です。
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