前回は、自然農法の実例として、福岡正信氏の方法について述べました。
これまでの投稿
→ 自然農法について、その1 自然農法について、その2
この方法の他にも、多くの人が自然農法を、それぞれ百人百様で行っており、とても一つ一つについて紹介できません。
ということで、私の調べた中で、いろいろな人の提案の共通する技術について述べることにより、自然農法で抑えるべき要点をピックアップして述べてみたいと思います。
前回と重複する点も多いですが、ご了承願います。
1)自家採取種を用いる
多くの自然農法実践家は、自家採取した種を用いることを推奨しています。
自家採取により、その土地の気候、風土に適応したで強健な種を選別します。
ちなみに、最近市販されている種はF1種が多いです。
これは、異なる品種を掛け合わせて作ったもので、F1の野菜からタネを取ると、元の親と全く異なった性質の植物ができたり、場合によってはタネ自体採れなくなったりします。
○○交配とかF1△△とか書いてあれば、種の自家採取はうまくいかない可能性も高まるので、注意が必要です。
2)緑肥活用
地面を覆ってしまうことにより、雑草が生えるのを防ぐとともに、根粒菌の働きによるチッソ分の補給を目的として、マメ科のつる性の植物がよく用いられます。
(根粒菌について以前書いたものとしては、例えば、根粒菌についてあたりをご参照願います)
よく使われる緑肥としては、前回紹介したクローバーの他に、ヘアリーベッチやレンゲ、カラスノエンドウ、ダイズなどが用いられます。
ちなみに、私の畑ではクローバーとカラスノエンドウが自生しています。
これを緑肥だ、と思えば腹も立ちませんが、雑草だと思って根絶しようとするとかなり苦労しそうです。
排除するよりも生かしたいところです。
そこで、今年は試しに、クローバーの中にダイズを植えてみています。
同じマメ科同士なので、生育不良になるかと思いましたが、むしろ何もないところに植えるよりも害虫も少なく、生育もよいです。
収穫してみるまでどうなるか分かりませんが、今のところ有望です。
3)有機物マルチ
これも前回紹介しました。
前回は敷き藁でした。
この他に、刈った草は捨てずに畝の上においてマルチ代わりにすることが提案されています。
ただし、刈らずに、根っこから抜いてしまった草は、畝に敷くとそこで再生する可能性もあります。
4)自然農薬
無農薬が基本といっても、実際に野菜が病気になったり虫に食われたりしていると、何かの防除をしたくなるのは人情です。
今回は化学農薬は使わないという前提なので、身近にあるもので農薬の代わりになるものを散布します。
例としては、食酢やお酒、牛乳、石けん、ヨモギやスギナなどの植物の抽出液、木酢液、EM菌など多種多様です。
ちなみにこれらの中では食酢のみが、農薬取締法の中で特定農薬として認定を受けています。
牛乳や木酢液は、効果が不明瞭として保留されています。
このことから、食酢が最も効果が高いのではないかと想像します。
5)輪作、混植
自然界では、単一植物のみが一面に生えていることはほとんどありません。
従って、農地でも多様な植物が共生させることにより自然に近い状態になるでしょう。
多様な植物が共生することにより、その植物に寄生、共生する昆虫、微生物も多様化して、特定の病害虫のみが繁殖しすぎるのが防がれます。
従って、一部の例外を除けば、混植することで植物は健全に育ちやすくなります。
ここでは、私が以前調べたものの中で、混植や輪作がダメな例を挙げておきます。
・ユリ科植物とマメ科植物(ユリ科植物がマメ科植物の生育を阻害)
・ショウガとジャガイモ(ショウガの発育阻害)
・ナス、セロリ、ハクサイとダイコン(ダイコン肥大不良)
・アブラナ科とナス科の連作(病気増える)
・ホウレン草の後作でキュウリ、トマト(生育不調)
・ホウレン草、キャベツの後作でジャガイモ(ジャガイモ不調)
・ジャガイモの後作でエンドウマメ(立ち枯れ)
・エンドウマメの後作でホウレン草(病気発生)
・キュウリ、エダマメの後作でニンジン( 生育不調)
・ダイコンの後作でピーマン(立ち枯れ)
6)心構え
自然農法は、確立された方法があるわけでもなく、マニュアル化も(たぶん)されていません。
農地だけでなく、人の手の入っていない山野や自然公園などの状況を可能な限り観察して、うまく栽培できる条件を自分で見い出す必要があるでしょう。
参考にした本
木村秋則 自然栽培ひとすじに 創森社(無肥料、自然農薬、耕起栽培)
とても読みやすい上に、実践的な内容にも触れられています。
筆者の温かい人柄が想像できて、読んでいて元気づけられ
ました。
川口由一、鳥山敏子 自然農ー川口由一の世界 晩成書房(無肥料、無農薬、不耕起栽培)
この本も、筆者の人間的な魅力にあふれていて、感動的です。
技術的な内容は少ないですが、実際に自然農法を始めたいと
いう動機付けにはぴったりの本でした。
(財)自然農法国際研究開発センター技術研究部編 MOA自然農法 農文協(有機肥料、自然農薬、耕起栽培)
前々回で少し述べた、岡田茂吉氏の農法を継承した実践的な
内容のものです。
ただし、堆厩肥の考え方など、岡田氏の創業時の基本理念
からかなり変化しているように思え、その点がとても興味
深かったです。
姫野祐子編 趙漢珪監修 はじめよう自然農業 創森社(有機肥料、自然農薬、不耕起栽培)
この本も、とても実践的な内容です。
具体的な植物の栽培法や、自然農薬の作り方も書かれていて、
教科書とするにはこの本がよいかと思います。
他
クリック切望
↓
0 件のコメント:
コメントを投稿