前回に引き続き、自然農法についてです。
(前回: 自然農法について、その1 )
今回は、実践的な方法について述べます。
といっても、人によってやり方は大きく異なるので、今回は福岡正信氏の方法について調べてみました。
氏の定義によれば、自然農法は4つの構成要素があります。
すなわち、
1)不耕起
2)無肥料
3)無除草
4)無農薬
の4つです。
ただし、これを全て満たすことが自然農法という訳ではありません。
定義が曖昧なのではっきりとしたことは言えませんが、1)の無農薬と、2)のうちの化学肥料を使わなければ、一応自然農法と言えるようです。
また、福岡氏の著書を読んでみると、氏の方法が必ずしも上記4点を全て満たしている訳でもないことに気付きます。
結局のところ、理想的な自然農法の完成形として、上記4点を目指している、というところではないかと思います。
従って、上記4点を真に受けて全て行ってもうまくいかない可能性が高いと思われます。
で、何はともあれ栽培の実際について慣行農法と比較しながら述べていきます。
まず慣行農法では、栽培する前に元肥や堆肥を施して耕耘します。
これに対して氏の自然農法では、上記1)、2)から、無肥料と考えがちですが、本を読んでみると「堆厩肥や人糞は十分施す」との記載があり、必ずしも無肥料ではないようです。
これは、その方が自然に近いためです。
つまり、自然界では動物は植物を食べるかわりに、排泄物を出し、その排泄物は分解されて植物に取り入れられる、という循環が起こっているので、これを再現する必要があるためです。
逆に人糞を施さなければ収支が合わなくなります。
耕耘については、上記の1)のとおり、不耕起で何もしませんが、最初に栽培を始めるときには排水のために畝はしっかりと作っておくことを推奨しています。
次の作以降は、基本的には土を動かしません。
耕耘の次に種を蒔きます。
移植栽培よりも直播きの方が自然なので、直播きが基本です。
この種まきが、福岡氏の自然農法の中で最も特徴的なものです。
粘土団子といわれる処理を行います。
これは、何10種類もの有象無象の種を土と粘土、他で1〜2cmくらいの団子状に固めたものです。
混ぜ物や大きさは特に決められたものではなく、人それぞれのようです。
この粘土団子をばらまきします。
撒かれた団子の中の種のうち、そこの気候条件、土壌条件に適したものが発芽し、生長することになります。
ちなみに米や麦では、必ずしも粘土団子にする訳でもないようです。
その代わりに稲藁や麦わらで被覆することにより乾燥や鳥害を防ぎます。
種まき後の管理業務としては、一般に除草が最も困難です。
農作業は雑草との戦い、といわれるくらいです。
自然農法では雑草防除のために藁被覆をしますが、これとともにクローバーを混植するという方法を併用します。
特に巧妙なのが米麦輪作です。
稲の収穫前にクローバーを撒いておくことにより、稲や麦を刈り取ってから、次の作物が成長するまでの間、土が露出して雑草が芽を出すのを防ぎます。
クローバーは被覆による雑草防除の効果が高いですが、それだけでなく、緑肥としての効果も期待されます。
なお、稲の生育がクローバーで邪魔されそうになる時期には湛水することによりクローバーを枯死させます。
ただし、これでも完全という訳ではなく、やはり多少の草取りはしているようです。
野菜栽培についても基本的には同様で、混植と適時適蒔と藁や収穫残さの被覆をするようです。
その他の管理、例えば支柱立てや中耕、土寄せ等はせず、あくまで自然にまかせます。
混植で多種類の植物が生育することにより、より自然に近い状態が再現され、虫や微生物も多様化して害虫の天敵なども増え、害虫被害が少なくなります。
以上、この方法を勉強してみた感想は、特に米麦輪作など、管理が少ない分、一つ一つの作業の重要性が増すことになります。
さらに、その時々の植物や土壌の状態を細かく観察して、生育状況に応じて対処しなければならず、よほど知識や経験が豊富で、熟練した人でないと難しいのではないかと思いました。
引き続き、次回へ
参考にした本
福岡正信 わら1本の革命 春秋社
何かのインタビューを本にしたものでしょうか。とても読みやすい本でおススメです。
福岡正信 無(3) 自然農法 春秋社
「無」シリーズは3巻ありますが、その中で実践的な内容について書かれた本です。
他
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