2011年10月28日金曜日

種の登熟について

すっかり日の出が遅くなってきました。

秋も深まってきました。

そして秋と言えば、収穫の秋。

普段は、野菜栽培で年がら年中、色んな野菜を収穫していますが、秋は特に収穫の印象が強いですね。

何といっても米、他には雑穀やマメ、胡麻など、沢山の作物が秋に収穫されます。

そして、秋に収穫する作物は、種を利用するものが多いです。

また、食用にはしなくても、次の年に使うために種を採取することもあります。

ということで、今回は種が成熟するまでの過程について、見てみたいと思います。

なお、種が出来てからの発芽については、過去にも書きました。

○ 発芽について

○ 発芽を早める処理

さて、成熟するまでの過程についてですが、差し当たり受粉のあたりから始めたいと思います。

受粉とは、虫や風によって、花粉がめしべのてっぺんの柱頭という部分にまで到達することです。

無事柱頭まで到達した花粉は、管を出して柱頭内に伸びていきます。

そしてその管は、花の根元付近にある子房に、さらに子房内にある胚珠まで伸びていきます。

そして、その管から精細胞の核が胚珠の中の卵細胞内に入り、受精します。

このあたりは、中学校の授業で習った気がしますが、覚えていますでしょうか?

私は完璧に忘れたので、今改めて調べなおして書いています。

受精した後、受精卵は細胞分裂を繰り返しながら、種子を構成する色んな器官が形成されていきます。

胚軸や子葉等の芽の元となる部分、栄養を蓄える胚乳、外部環境から中身を守る種皮などが発達していきます。

そしてこれらが成熟していく訳ですが、これを登熟といいます。

登熟中に、種が発芽能力を持ってきますが、いつ頃発芽能力を持つかについては、植物の種類により大きく異なるようです。

例えばイネは、胚乳があまり成熟していないような初期段階でも発芽能力を持つのに対し、チューリップは種が成熟したように見える状態になっても発芽能力は持ちません。

また、登熟はオーキシンという植物ホルモンが関与していることも知られています。

すなわち、種ができると子房の中のオーキシン濃度が上昇し、養分が種の中に呼び込まれて胚乳が発達していきます。

この登熟をしっかりさせることにより、種が充実するとともに果実の発達した収穫物をとることが出来ます。

ではどんな条件で登熟がしっかり行われるかというと、

1)十分な日照

・・・光合成により、十分な栄養を獲得する必要があります。

2)適正な温度と湿度

・・・登熟するのに最適な温度があるのは、感覚的にも納得できますが、湿度も影響します。

一般に、登熟期の湿度が高いと種子の発芽能力が低下したり、実の生育も不良となるようです。

3)昼夜の温度差を高くする

・・・昼間にしっかりと光合成をして栄養分を作り出すとともに、夜間は低温にして呼吸による余計な栄養の消耗をなくします。

参考にした本

鈴木善弘 種子生物学 東北大学出版会 


・・・以前にも紹介した本ですが、種全般に関して非常に詳しく述べられています。

詳しいだけでなく、かなり難解なのでちょっと消化不良になりそうですが、秋の夜長にこのような本に挑戦するのも良いものです。

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