2011年9月3日土曜日

野菜の保存方法、その2

野菜の保存方法、その1からの続きです。

前回は、冷蔵したり包装したりして、鮮度を保持したまま保存する方法について述べました。

今回は、乾燥等による、野菜の変質を伴う保管法についてです。

まず前回述べた通り、野菜を放っておくと、有害微生物による腐敗が起こりやすくなります。

長期保存する際には、この有害微生物を防ぐのが、大きな目的となります。

微生物を繁殖させないためには、野菜に含まれる水分をなくすることが有効です。

あるいは、水分を彼らの利用しにくい形、例えば強い酸性にするとか、塩分濃度を高めるとかする方法もあります。

前者が乾燥による保存で、後者が漬け物です。

この他にも真空パックとか燻製とかいろいろありますが、今回は乾燥と漬け物の二つに絞ります。

まず、乾燥について。

乾燥した食材は、原料によって名称が異なり、魚は干物、野菜は、乾物と呼びます。

大規模に工場で乾燥するなら、熱風を送ったり遠赤外線を照射したり、と色々な方法がありますが、それらがなくても、天日で乾かすことが出来るのがうれしいところです。

家庭でも、手軽に出来ます。

乾燥によるメリットは、長期保存のみならず、重量が減って持ち運びやすくなることにもあります。

多くの野菜は、70%以上が水分で出来ているので、重量の減量効果は大きいです。

さらに大きなメリットの一つとして、生のものよりも栄養分が増えたり、味わいが深くなったりすることがあります。

例えば、ダイコンは乾燥して切り干し大根とすることにより、旨味成分のグルタミン酸やブドウ糖が増えますし、椎茸は乾燥によりビタミンDが増えます。

乾燥によって、野菜が受ける変化について述べます。

まず、水分が減ってくると、細菌やカビ等の微生物が繁殖できなくなります。

さらに乾燥が進んでいくにつれ、野菜中の酵素が働きを失って養分を分解させる反応が低下していきます。

それと同じ頃、表面が茶色に変色する、褐変反応が起こりにくくなります。

もっと水分が抜けてくると、今度は脂質やビタミンが酸化により分解しやすくなります。

このような過程から考えると、乾燥は酵素による分解反応や褐変反応を抑えるために、出来るだけ手早く行った方がよいことが分かります。

さらに、乾燥した後は酸化を抑えるために、瓶詰めなどにして密閉したり、冷蔵庫に入れて温度を下げて反応を起こりにくくさせるのが望ましいです。

もちろん、湿気の少ないところで保管します。

戻す時には、加熱せずに、水に入れておきます。

次に漬け物について。

漬け物は野菜中の水分を減らすのではなく、微生物が繁殖できないような液に置き換えるものです。

漬け物には、浅漬けと保存漬けとあります。

浅漬けは1日程度の短い期間漬けるもので、野菜に風味をつけるのが目的です。

従って、長期保存はできません。

保存漬けは、本来の保存目的の漬け物です。

特に長く漬けるものを、ひね漬けといいます。

漬床は、塩、味噌、しょうゆ、酢、粕、麹、米ぬか等々、各種にわたります。

漬け物というと、有用な微生物による発酵を利用していると考えがちですが、必ずしもそういう訳ではなく、単に塩分や酢などをしみ込ませて、有害微生物の侵入を防ぐだけのものもあります。

前述の浅漬けが、その一例です。

有用微生物を利用する漬け物では、乳酸菌を利用する場合が非常に多いです。

ちなみに日本では漬け物の種類が多岐に渡り、「漬け物王国」
と呼ばれているそうです。

各地域にそれぞれ名産品があり、日本の食生活を支える大きな柱の一つとなっています。

参考にした本

農文協  農家が教える加工・保存・貯蔵の知恵


・・・前回と同じ

星名桂治  乾物は健康食  長崎出版


・・・野菜に限らず、魚や穀物など色んな食物についての乾物の具体例が述べられています。

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