前回は、畑の土壌と微生物について書きましたが、全体としてまとまりのない話になってしまいました。 (前回→ 畑の土壌と微生物
今回はこれを反省して、実地で行われる各種の農作業によって、微生物がどのように影響を及ぼされるかについて述べていきたいと思います。
まず最初は、耕耘について述べます。
その前に、耕耘する目的と結果について整理してみましょう。
以下に示すように、様々な目的があります。
1)土をやわらかくして、種まき等の作業を容易にする
2)土をやわらかくして、根が深くまで張りやすくする
3)土の中の空隙を増やして、三相(空気、水、土)の割合をバランスよく整える
4)土を撹拌することにより、肥料分を万遍なく行き渡らせる
5)除草する
また、これらの他に、
6)土が乾燥しやすくなる
7)根穴やミミズの通り道など、既にあった土中の構造が破壊される
といった効果もあります。
これらの様々な要素について、微生物がどのように影響を受けるかについて、考察すると・・・
まず、7)の土中の構造が破壊されることにより、微生物の多くは死滅します。
これは、微生物への直接的な衝撃や、土中の微細孔が破壊されることによる間接的なダメージなどによります。
ただし、微生物は容易に繁殖することが出来るので、一時的に数が減っても、条件が整えばすぐ数を増やすことが出来ます。
今回の場合は、3)の空気の比率が高まるため、好気性の微生物が主に増えることになります。
一般に、好気性の微生物は、嫌気性の微生物よりも沢山の有機物を食べて酸素を消費するため、土壌中の有機物の分解は早まります。
従って、堆肥等の有機物を施さずに耕耘しすぎると、エサがなくなって結局は微生物が減ってしまうことになります。
よく、耕耘しすぎると土が痩せる、と言いますが、微生物の観点からもそう言えるかと思います。
さらに、6)の乾燥しやすくなる点からも、微生物の総量は低下していくものと考えられます。
ただし、地表面では数が少なくなるものの、地中では必ずしもそうとも言えません。
通常、地表面には植物の残さ等の有機物が比較的多く、地中では少ないので、これに応じて微生物も地表面に偏在して、下にいくほど少なくなります。
しかし、耕耘することにより、地表の有機物がかき混ぜられて地中まで入っていくので、地中の栄養分が増えて、微生物も増えます。
さらに、適度な耕耘により植物が健全に生育すれば、これも微生物の増える要因となります。
植物が健全に生育すると、根が地中深くまで発達することになるためです。
根は、地中の肥料分を吸収するだけでなく、植物体内の有機物を排出する働きもあるので、それをエサにして根のまわりに微生物が繁殖することになります(根圏微生物といいます)。
なお、このブログでは不耕起栽培について度々取り上げていますが、単純に微生物の数を増やす、という意味では耕耘しない方が有利です。
しかし、土が硬く締まったような土地で不耕起栽培すると、根も張りにくく、微生物も繁殖しにくくなることが予想されます。
以前、水はけの悪い土地で不耕起栽培すると、野菜が育ちにくくなる、ということを書いた気がしますが、こういった微生物環境も一因かもしれませんね。
次回は、施肥と微生物との関係について述べます。
参考にした本
土壌微生物研究会編 新・土の微生物(1) 博友社
堀越孝雄 二井一禎 土壌微生物生態学 朝倉書店
・・・前回と同じ
※もしよろしければクリックをお願いいたします。
↓
こんにちは!
返信削除キビゴロウ様の記事、
本当にわかりやすくて
とても面白いです!!!
バラ様ももとをたどれば植物。
基本は、土と水と日光だと
思うのです。
ぜひ一緒にお勉強させてください♪
お腹 もう大丈夫ですか?
検査と一緒に切除して日帰りだなんて
いまどきの病院はすごいですねぇ~!
メアリーさん、ようこそおいで下さいました!
返信削除お腹の方は、もう問題ありません。
妻も腰痛で痛がっていたのですが、だいぶ痛みが和らいできたようです。
あとは子供達だけです。
微生物の話は、本当に奥が深くて難しくもあり、面白くもありますね。
メアリーさんの米ヌカ発酵の件も、どうしてえひめaiでうまくいかなかったのか、不思議ですね。
でも、乳酸の匂いがしたとのことなので、発酵はしていたのではないでしょうか?
ちょうどぬか漬けをつくっているような感じになって、ゆっくりと発酵が進んで。
それでpHが下がって他の菌が繁殖しにくくなったとか。
あまり自信はありませんので、話半分で。