今回は、ここ数回と話をがらりと変えて、畑の中での微生物について述べていきたいと思います。
よく言われているように、植物を健全に育てるためには、微生物環境をととのえることが重要です。
微生物の分泌物質が接着成分となることにより、土壌が団粒構造を形成しやすくなりますし、多様な微生物が繁殖することにより、有害微生物の繁殖が抑えられます。
また、微生物が有機物を分解する過程で、チッソやリン酸等の肥料分が無機化されて、植物が取り込みやすい形に変えられます。
このような色んな効果のためには、土壌中には微生物が多数、生息していることが必要です。
最低でも、土壌の0.01%(1万分の1)以上は微生物がいないと、その土壌は「死んだ土」となって、植物が極めて育ちにくい土地になる、と言われています。
でも、具体的にどのような微生物がどのような過程を経てこういった効果が起こるかについては、あまり深く理解できていません。
私の理解では、せいぜいのところ、微生物相を増やすために畑に堆肥を沢山いれましょう、という程度です。
そこで、もう少し詳しく調べて、もっと積極的に土の中の微生物の状態をコントロールできないだろうか?というのが、今回取り上げた狙いです。
まずは、微生物とひと言で表しても、実際は色んな種類がいるので、大雑把に分類してみましょう。
色々な分類の仕方があります。
・嫌気性か、好気性か
・乾燥に強いか、弱いか
・有機物をエサにするか、無機物をエサにするか
・光合成をするか、しないか
これら、様々な分類について、それぞれに対応する菌が数多くいます。
これらを十把一絡げにして取り扱おう、というのも無理な話です。
単純に考えても、土をふかふかにすると、好気性の微生物は増える代わりに嫌気性の微生物も減ってしまいます。
先に述べた、堆肥を入れたら微生物が増える、ということに関しても、これは必ずしも正しくありません。
エサとして有機物を沢山必要とする微生物にとっては有効ですが、そうでない微生物にとっては、却って数を減らすこともあるようです。
(ただし、逆に有機物がない状態では微生物は繁殖できず、土壌全体の1%程度は有機分が必要だそうです)
このように、全体的に微生物の数を増やすのは難しいので、それでは、有用な菌に限って増やすということはできるでしょうか?
そのために、まず有用な菌を具体的に書くと、
・拮抗作用や捕食などにより、有害な微生物の繁殖を防ぐ
・発酵や共生により、植物に有用な成分を供給する
・光合成細菌等、有機物を生産して土地を肥やす
・防除したい雑草を攻撃して成長を抑える
と多数ありますが、これらについてもなかなか難しい面があります。
最も代表的な、有害な微生物の繁殖を防ぐ微生物を例にとりますと、このような微生物は、有害微生物と同じような性質を持つ場合が多いです。
同じような環境で成長するため、競合が起こるのであって、性質が異なれば、別々の場所で住み分けしてしまいます。
また、1種類だけでは有害な微生物の繁殖が抑えられず、複数の微生物が働く必要がある、という実験報告もあります。
ということで、これ一つとってもなかなか大変です。
また、代表的共生微生物の菌根菌や、光合成細菌など、もともと繁殖させるのが困難な微生物も多く、微生物をコントロールするのは一筋縄では行きそうにありません。
とごちゃごちゃ書きましたが、とりとめのない話に終始してしまいました。
そこで次回は、視点を変えて、耕耘や施肥などの農作業により微生物がどのような影響を受けるかについて、考えていきたいと思います。
参考にした本
土壌微生物研究会編 新・土の微生物(1) 博友社
堀越孝雄 二井一禎 土壌微生物生態学 朝倉書店
・・・いずれも、専門的で難しいのですが、非常に詳しく述べられており、参考になります。
ただし、実用書ではないので、実地(田んぼや畑)で具体的にどう管理すればよいか?という疑問には答えてくれません。
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おはようございます!
返信削除微生物のはなし 読ませていただきました
研究熱心ですね こういう掘り下げた本はほとんど読んでいません
「やさしい野菜の育て方」レベルのものばかり
勉強になりました 情報ありがとうございます
<耕耘や施肥などの農作業により微生物がどのような影響を受けるかについて>次回楽しみにしてます
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Heyモーさん、おはようございます。
返信削除微生物の話は、難しくてよく分かりませんね。本を読んではみるのですが、どうも消化不良気味です。
私の畑を善玉の微生物にいっぱいにしたいと思っているのですが、先は遠そうです。