今回はコオロギについてです。
コオロギといえば、美しい音色で鳴く秋の虫という印象が強いですね。
虫かごに入れて、飼ったことのある人も多いのではないでしょうか?
エサには、キュウリやナスを爪楊枝で突き刺して・・・
ほら、野菜を食べている!
ということで、立派な害虫です。
特に芽が出たばかりの小さな苗などは、コオロギにかかればひとたまりもありません。
また、雑食性で、たいていの野菜は被害にあう可能性があります。
なかなかの大害虫ぶりです。
鳴き声の印象が強く、秋の虫と思いがちですが、卵の状態で越冬して春にふ化します。
不完全変態(幼虫と成虫が似たような形)なので、春でも幼虫の小さなコオロギを見つけることが出来ます。
そこから、10回くらいの脱皮を繰り返して、秋頃に成虫になります。
夏頃から野菜の食害が目立ちはじめます。
コオロギは夜行性です。
昼間は、石の下や藁の中に隠れています。
夜になると活動しはじめます。
鳴き声を聞くのも、もっぱら夜ですよね。
夜行性のため、視覚はあまり発達しておらず、聴覚や触覚が発達しています。
という訳で、鳴き声について。
コオロギは、成虫になると鳴き声を出し始めます。
オスのみが鳴き、メスは鳴きません。
ちなみに、鳴き声は3種類あるそうです。
一つは、オスがメスを呼ぶ時に出す音。
力強い鳴き声でメスにアピールします。
この声でメスが来たら、次の鳴き声に移ります。
すなわち、交尾の前に奏でる、か細い鳴き声。
これを人間で例えると・・・下品なのでやめておきます。
最後に、メスが来ずにあやまってオス同士が遭遇したときの威嚇の鳴き声。
声の調子が激しくなります(といっても、聞き分けたことがないのでよくわかりませんが)
あと、よく知られているように「鳴く」と表現していますが、実際は羽根をこすりあわせて音を出します。
左右の羽根を開いて、閉じる時に片側の羽根の端の、ノコギリのような部分で反対側の羽根をこすります。
これにより、羽根に大きな震えが生じ、音が出ます。
さらに、その羽根の中央付近に振動音を増幅する膜の部分があり、これにより音を遠くまで届けます。
実際に、コオロギの両方の羽根を切り取ってこすりあわせてみると、音の出る様子がよく分かるようです。
また、コオロギには、大きな触角があるのも特徴です。
この触角が触れ合うことで、相手を判別します。
逆に、触覚がなくなると相手が誰であるかを判別できなくなります。
ある研究者が、触覚を切り落として仲間のコオロギと同じ場所で育てて見たところ、そのコオロギは相手によって鳴き方を変えず、でたらめになったそうです。
なお、防除法については以前にも書きました。
ご興味があれば、 こちらをお願いします。
参考にした本
八木寛 エンジニアの昆虫学 新潮選書
・・・一つ一つのテーマを、微に入り細を穿って解説しています。
一つのことに興味を持ったら、トコトンまで突き詰める態度はとても参考になります。
矢島稔 謎解き昆虫ノート NHK出版
・・・こちらも、一つのテーマを詳しく解説しています。
ただし、上記二つの本とも、コオロギの項目は鳴き声にテーマの中心があり、害虫としての生態についてはあまり述べられていませんでした。
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