害虫シリーズの続きです。
今回は蚊です。
蚊というと、農業害虫というよりは、家庭で刺されて病気を媒介する、衛生害虫としての位置づけの方が強いですね。
このような、主に街中や家屋で夜間に人を刺すのはイエカという種類で、畑などで昼間に人を刺すのはヤブ蚊という種類が多いです。
ついでに言うと、イエカは主に狩人のように獲物を探して飛び回っており、ヤブ蚊は獲物が近づいてくるのをじっと待っています。
また、イエカは日本脳炎やフィラリアを、ヤブ蚊は主に黄熱病を媒介します。
ただし、蚊は常に血を吸ってい生きている訳ではなく、メスが産卵をするときのみ吸血します。
普段は、花の蜜や果汁を吸っています。
産卵〜成虫になるまでの過程は以下のようになっています。
まずは交尾から。
よく朝間や夕方になると蚊柱が立っていますね。
何十、何百匹の蚊が群れて飛んでいて、柱のように見えるやつです。
あれは、オスだけが集まって群れているものです(従って、通常そこに体を突っ込んでも刺されることはありません)。
そこにメスの蚊が入ってきて、蚊柱のオスの中の一匹と交尾をします。
ただし、そこで得た精子はすぐに受精するわけではなく、いったんメスの体の中で保管されます。
その後、メスは吸血活動に入ります。
吸血は、ヒトのみならず他のほ乳類、は虫類、両生類などに対して行われますが、蚊の種類により吸われる生き物の種類も概ね決まります。
吸血活動は、実に精緻なものです。
まず蚊としては、獲物(ここではヒトとします)の居場所を突き止めなければなりません。
そのために、蚊はヒトの呼吸による二酸化炭素を感知する、とよく言われますが、それのみならず、筋肉を使った時に生成する乳酸や、赤血球の成分のニオイも感知して探し出します。
ヒトを見つけると、その上にとまって血を吸うための毛細血管を探します。
そのために、足の裏から超音波を出し、その超音波の反響音から血管を感知します。
そして、口吻の針を突き刺す訳ですが、そのあと直ぐに吸わずに、まず唾液を血管内に送り込みます。
この唾液成分は、多くの機能を持っています。
一つは、人間の皮膚の感覚を麻痺させて、血を吸われていることを気付かれにくくすること。
もう一つは、血管を拡張させて血を吸いやすくすること。
さらにもう一つは、血液の凝固を防ぐこと。
ついでにもう一つ言えば、人間にアレルギーの元となってかゆみを起こさせること
等々です。
そして、血を吸いはじめたら、最後までトコトン吸います。
自分の体重と同じくらいか、それ以上を一人のヒトから吸います。
色んなヒトから吸うとそれだけ危険も多くなるし、別の血液型の血が混じって凝固する可能性も高まるからです。
そして吸血が終わると、唾液をまた自分の体に戻して去っていきます。
従って、血を吸われたら、そのまま最後まで好きにさせる方がかゆみは軽くなります。
また、やっつけるときも、上から叩き潰すと蚊の唾液が沢山自分の体内に入るのでかゆみが増します。
払い落とすようにした方がかゆみは抑えられます。
血を吸って以降は次回に続きます。
参考にした本
普後 一 人が学ぶ昆虫の知恵 東京農工大出版会
・・・大学の先生が一般向けに書いた、非常に読みやすい本です。
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なるほど勉強になりました。
返信削除蚊も必至なんですね・・・。
コウイチさん、どうもコメントありがとうございます。
返信削除蚊も必死なのかもしれませんが、こちらもむざむざ刺される訳にはいきませんね。
最近は、朝畑に行くとヤブ蚊がやたらと攻撃してきて困ります。
一度、蚊取り線香を100本くらいいっぺんに焚いて、一気にやっつけてしまいたいと思っています。