昨日から引き続いて今日も雨、蒸し蒸しする日が続きます。
害虫が、さかんに出てくる頃です。
去年は、春に害虫について書きました。
アブラムシ、ヨトウムシ、ナメクジ、アワノメイガ・・・
今年も、いくつかピックアップしてやってみたいと思います。
まず今回は、モンシロチョウです。
というより、害虫としてはアオムシですね。
言わずと知れた、アブラナ科の野菜の大害虫です。
特に、キャベツとダイコンの食害は甚大です。
食べられた後は、葉脈が残っているだけの無惨な姿にされてしまいます。
アオムシは、アブラナ科以外の野菜を食べることはほとんどありません。
なぜ、キャベツやダイコンばかり食べるのでしょう?
一般に、植物は動けないので、動物や昆虫に食べられないように、色んな工夫を凝らしています。
例えば刺をもっていたり、葉っぱが針のようになっていたり、毒を持っていたり・・・
キャベツやダイコン等のアブラナ科の野菜も毒を持っています。
カラシ油配糖体と呼ばれる、ツンとした辛みの成分です。
これは、昆虫が葉っぱを食べた時に消化を妨げる働きがあり、そのためたいていの昆虫は食べられません。
一方のモンシロチョウ。
虫の立場からすると、同じテリトリーで別の虫と一緒に生活するのは、余計な生存競争が起こるため望ましくありません。
そこで、モンシロチョウは毒があって、別の虫があまりいないアブラナ科の植物が食べられるように進化していきました。
アオムシには、上述のカラシ油配糖体は効きません。
平気で食べられます。
逆に、アブラナ科以外の植物には、別の毒や刺などの邪魔があるし、それに適応した虫もいます。
という訳で、アブラナ科の野菜ばかり食べるようになったのです。
でもそれに止まらず、親のモンシロチョウはこの毒を逆に利用することをはじめました。
まず、この毒のニオイで近づいて葉っぱにとまり、足下の感覚器官でこの毒があるかどうかを検知して、キャベツの葉っぱだと確かめてから卵を産みます。
キャベツが生き残るための、必死の工夫を逆手に取るモンシロチョウ。
だんだん、憎しみが湧いてきますね。
でも、これだけではありません。
モンシロチョウが卵を産む時、ご丁寧にも一つの葉っぱに一個ずつ生んでいきます。
アオムシ同士で、エサの取り合いをするのを防ぐためです。
モンシロチョウの成虫の産卵数は100〜200個くらいといわれています。
従って、下手するとモンシロチョウ一匹だけでキャベツが3桁くらいダメになってしまいます。
さらにいじましいことに、卵は葉っぱの裏側に産みつけられていきます。
外敵から見つかるのを防ぐとともに、直射日光から保護するためです。
こんなことをされたら、見つけて潰すこともできません。
怒りも倍加です。
最後にダメ押しです。
もともとアオムシは黄色っぽい透明な色をしています。
それが、葉っぱを食べることによって葉っぱの色、すなわち緑色に変わっていきます。
食べるという行為を行うだけで保護色になって、外敵を欺く・・・
ヒラヒラと美しく舞うモンシロチョウも、実は狡猾きわまりない虫だった訳です。
巧言令色少なし仁、といいますが、モンシロチョウのためにあるような言葉ですね。
参考にした本
今村和夫 日本ローカル昆虫記 日本植物防疫協会
・・・いつもはAmazonのリンクを貼るのですが、この本は一般に流通していないようで、ありませんでした。
「田舎の本屋さん」(現代農業等を出している農文協のwebショップ)では取り扱っているようです。
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