2011年6月24日金曜日

天敵

前回は、害虫シリーズの第一弾としてアオムシ(モンシロチョウ)を取り上げました。

今回は、その防除法について述べるつもりでしたが、話を天敵に重点を置いて述べたいと思います。

アオムシの防除法としては、化学農薬、自然農薬を撒いたり、手で取ったりといろいろありますが、天敵を用いるという手段もよく用いられます。

利用する天敵も多様で、例えばBT剤(虫の消化器官内で殺虫効果をもつタンパク質を作り出す菌を用いた農薬)のようなものから、カエルやカマキリ等を捕まえては圃場に放つといった、牧歌的?な方法もあります。

これらによって、実際にアオムシをはじめとする害虫の防除に効果を挙げた例は数多く見られます。

・・・と、天敵利用の話はこれくらいしか書くことがないので、自然界に目を移して見ます。

勿論、自然環境においても、天敵関係にある生き物の組合せは多数存在します。

天敵が、食われる側の生き物の数の増減に、大きく関わっていることもよく知られています。

でも、意外なことに、なぜそうなるのかについては、よくわかっていないそうです。

例として、話をチョウとカマキリの2種類だけに単純化し、このあたりの点について述べてみたいと思います。

カマキリによるチョウの個体数の調整の、一般的な解釈はこうです。

チョウが増えすぎると、それを食べるカマキリも増えるので、沢山チョウが食べられてさらに増えるのが抑えられる。

逆に、チョウが減りすぎると、エサがいなくなってカマキリが減るので、チョウは食べられにくくなり、さらに減るのが抑えられる。

でも、この解釈には、重大な欠陥があります。

チョウが増えたからといって、カマキリは簡単には増えることはできません。

春から秋にかけて、チョウは成長〜産卵〜ふ化を繰り返し、数回の世代交代を繰り返します。

これに対して、カマキリは年1回、秋に産卵して春にふ化です。

従って、夏頃に環境がよければ、チョウはいくらでも増えることはできますが、カマキリはせいぜいが現状維持です。

一匹のカマキリが食べられる、チョウの量も決まっていますので、カマキリが増えなければチョウが増えるのを抑える効果は期待できません。

(チョウが増えることによって、カマキリと遭遇する確率は増えるので、多少は抑える働きはあるかもしれませんが、その分はごくわずかです)

逆に、チョウが減った場合。

エサがなくなって、カマキリは減るかもしれませんが、それは先の話です。

モンシロチョウでいうと、成虫の寿命は2〜3週間

カマキリは、少々の間はエサが無くても生きていけますので、チョウに対してカマキリが過剰に存在する時期があります。

このとき、カマキリは「チョウが少なくなったから食べるのを遠慮しよう」とは思いません。

空腹時に見つければ、捕まえて食べようとします。

従って、チョウが減っても、カマキリはそれをもっと減らす役目を持ちます。

以上の点から、カマキリはチョウの数を調整する働きを持たないという結論となります。

でも、自然界には実際に天敵による調節の例が種々認められています。

この理由については、いくつかの推論がなされています。

例えば、食べられる側が、天敵を避けるために種々の行動を行いますが、これがストレスとなって繁殖するのを防ぐ、とか、天敵ではなくエサの量によって増えたり減ったりしているだけ(つまりたまたまそう見えただけ)という考え等です。

しかし、まだはっきりした答えは出ておらず、今後の研究成果が待たれるところです。

なお、今回はチョウとカマキリを例にしましたが、これは天敵の方が寿命が長いことがポイントです。

多くの捕食性の天敵に対しては、これがあてはまります。

しかし、捕食性でない天敵、例えば寄生中やウィルス等では天敵の側の方が繁殖周期が短いので、食べられる側の数の増減に応じて天敵側も数を増減できます。

この場合は、増え過ぎを抑える効果は期待できるように思われます。

参考にした本

西田隆義 天敵なんてこわくない 八坂書房



・・・昆虫の生態学に関する難しい内容を、分かりやすく説明しており、面白く読めます。

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