前回まで、海外の不耕起栽培について述べました。
といっても、主に米国の農業が主体でした。
米国以外では、中国の農業も日本にとって重要です。
食料の輸入先は1位が米国で22%、2位が中国で18%程度です。
米国からは、コムギやトウモロコシ等の穀物が多く輸入されています。
これに対し、中国は魚介類、野菜類が多くなっています。
中国産の野菜というと、スーパー等に行ってもほとんど見かけませんが、輸入品の野菜の半分程度は中国産です。
では、どこに行っているかというと、外食やコンビニのお弁当等の加工食品です。
例えば、コンビニのお弁当に餃子が入っていたとします。
この餃子は多くの場合、すでに調理済みの冷凍食品を加熱したものです。
では、この冷凍餃子はどこで作ったかというと、輸入したものかもしれないし、国内で調理したものかも知れません。
でも、国内で調理したものとしても、中の原材料、例えばニラは外国産である可能性が高いです。
外国産の方が安いからです。
実際問題として、このように加工食品の元をたどっていくと、原材料はどこから来ているかほとんど分からないらしいです。
とすると、輸入量No.1の中国産である可能性は高い、ということになります。
ということで、今回は中国の農業について述べたいと思います。
まず、中国の農業の最も大きな特徴は、農民人口の多さです。
中国の人口の、約半数が農民です。
これに対して、農地は実はあまりありません。
中国は山間部が多く、耕地面積は少ないのです。
農民一人当たりの農地は60〜70アール程度で、日本(北海道除く)の半分程度にしかなりません。
ちなみに、米国では約180ヘクタールで中国の200倍以上です。
これに加え、中国では農地は農民の所有ではなく、公有です。
農民は、その農地の使用権があるだけです。
こういった点から、中国農業は大きな問題を抱えています。
これは、三農問題と言われています。
三農とは、農民、農村、農業の3つを指します。
農民は、収入が低く、都市との間で貧富の差は拡大し、また社会保障制度も不十分となっています。
この結果、農村では、都市と比べてインフラが整備されておらず、立ち遅れて荒廃しているといわれています。
こういったことで、農業全体では生産性、収益性とも低く、農民が農業で生活できなくなっています。
農民は生活が苦しいため、しばしば使用権を売って都市部で農民工として単純労働者になったり、使用権を買った企業に雇われて農業労働者として低賃金で雇われたりすることになります。
中国の農地は公有なので農民は自分の耕す土地に愛着を持っていないと言われています。
そのため、農地を肥やすために堆肥の投入などの土作り等の手間のかかる仕事をしようとしません。
そうすると、土が硬くなって作物は生長しにくくなるので肥料を多用することにより大きく育てようとします。
その結果、植物にとっては病気が非常に出やすい環境となってしまいます。
さらに、多量に使用された肥料や農薬は、作物に吸収しきれず、雨水とともに近くの川やため池に流れることになります。
このため池は、他に生活排水や工業廃水も流され、汚染が進行し、これが農業用水として用いられることになります。
日本より優れている面も勿論あります。
先進的な農業の企業の設備や検査装置は、日本の多くのものよりも最新鋭で性能の良いものを用いている場合が多いです。
また、日本を初めとする外国資本が入った企業では、栽培マニュアルが完備されていて、これに沿ってきちんと作れば少なくとも、これらの外国と同等の安全性の農作物が生産されるはずです。
ただし、上記のようなマニュアルや設備も、正しく運用されることが必要ですが。
参考にした本
高橋五郎 農民も土も水も悲惨な中国農業 朝日新聞出版
高橋五郎 中国経済の構造転換と農業 日本経済評論社
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