随分寒くなってきましたね。
当地でも、先週あたりから霜が降りはじめました。
そこで今回は霜害について取り上げたいと思います。
その前に、まず最初に霜はどのようにしてできるかについて述べます。
霜は空気中の水蒸気が、昇華して氷の結晶となり、物質の表面につくものです。
蛇足ながら、水から氷のように、液体から固体になることを凝結、水蒸気から氷のように気体から固体になることを昇華と言います。
このように霜が降りるのは、乾燥していて温度が低い時です。
特に、放射冷却現象が起こると霜が降りやすくなります。
放射冷却現象とは、よく晴れている日に地面から電磁波が放出されて、地温が下がることを言います。
従って、このような場合は地面からの下の根の部分に霜がつくように思われますが、実際には茎や葉の部分、つまり地上から突き出た部分が主になります。
これは、地熱からの熱伝導により、地表面で多少の熱を受け取るためです。
地上の空気部分では熱伝達しにくいため、温度が地表面よりも少し下がります。
このように温度が低下して霜が降りると、まず細胞の外側で水分が凍結し、さらに細胞内の水分が凍結して、細胞が死んでしまいます。
これが凍害、霜害です。
凍害は主に冬、霜を伴わずに凍結する害で、霜害は春や秋、霜により凍結する害です。
植物の側でもみすみす凍結するのを待っているだけではなく、これを防ぐために種々の対策をとります。
例えば低温になると、アミノ酸や糖分を蓄えて、氷点下になっても凍結しないようにします。
また、光合成や呼吸等の代謝活動も不活発になります。
動物が冬眠するようなものかと思います。
気温が徐々に下がるに連れて、植物もこのような対策で身を守りますが、春や秋の温度がさほど低くない時期では、抵抗力を身につけていないので、急な寒さでやられてしまいます。
従って霜害を防ぐために、人間の側でも対策を取ってあげる必要があります。
よくあるのが防風林です。
ですが、これは風を防ぎたいわけではなく、冷気がたまるのを防ぐのが目的です。
風はむしろ強い方が霜が降りにくいです。
ということで、防霜ファンで風を送るという方法もあります。
ワラや草、石油等を燃やすという方法も分かりやすいですね。
燃やすことにより温度も上がりますし、この熱により空気が対流して風となります。
さらに、燃やしたときの煙により放射冷却現象を防ぐこともできます。
小さい面積であれば、ワラや不織布で覆うのが簡便で効果も高いです。
これもやはり、放射冷却を防ぐのに効果があります。
変わった所では、植物に散水するという方法もあります。
散水した水は凍りますが、そのときに発生する凝結熱で細胞内が凍結するのを防がれるそうです。
外観上は、植物が凍ったりつららがついていたりするらしく、実際行うとなると、ちょっと度胸がいりますね。
植物に直接でなくても、地面にかん水することも有効です。
水は熱容量が大きく、放射冷却が起きにくいためです。
参考にした本
真木太一 風と自然 開発社
文字信貴 平野高司 高見晋一 堀江猛 桜谷哲生
農学・生態学のための気象環境学 丸善株式会社
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