夏野菜は、上手く育てれば食べきれないくらいたくさんとれますね。
ご近所さんにあげてもまだ余ります。
だからといって、手塩にかけて育てた野菜を捨ててしまうのはいかにも勿体ない。
そこで、今回から2回の予定で、野菜の保存、保管方法について取り上げたいと思います。
今回は、野菜を新鮮なまま保持する方法について、そして次回は野菜の変質を伴う長期間の保管について述べます。
その前に、これらについて論じるためには、何もせずに野菜をずっと放っておいたらどうなるかを知る必要があるでしょう。
植物の実や茎葉を株から切り離しても、これらはすぐに死ぬ訳ではありません。
呼吸したり蒸散したり、といった生命活動を続けています。
呼吸することにより、体に蓄えられている糖質や脂質等は分解されますしので、これらの栄養分は失われていくことになります。
ただし、だからといって糖分が減って甘くなくなる、というわけでは必ずしもなく、果菜類は追熟してむしろ甘くなくなる場合もあります。
呼吸の他に、蒸散も起こります。
体内の水分を蒸発させることにより、体温を下げますが、これによって体内の水分量が減って萎びてしまいます。
あと、植物ホルモンのエチレンという物質をさかんに放出するようになります。
エチレンは、植物の老化を促進させる働きがあり、これにより実が柔らかくなったり、葉がしおれたりします。
これらの種々の要因で、外敵からの攻撃に弱くなり、微生物による腐敗を受けやすくなります。
以上の点から、品質劣化を防いで、とりたてに近い状態で保存するためには、色々な対策を取らなければならないことが分かります。
まず、一つは野菜の呼吸を抑えることです。
そのためには、温度を低くしたり、密閉して酸素の濃度を下げたりすることが有効です。
ただし、完全に呼吸できなくなると、細胞が死んでしまいます。
野菜が呼吸に必要な最低の酸素濃度は、3%程度と言われています。
また、温度や酸素濃度を低くすると、エチレンの生成を抑える働きがありますので、二重の意味で有効ですね。
なお、温度について注意しなければならないのは、野菜の種類によって保存に最適な温度が異なることです。
一般に、茎葉菜は最適な保存温度は0℃〜2℃が多く、果菜は10℃前後が多いです。
極めて大雑把な言い方をすれば、夏にとれる野菜は冷やしすぎず、冬に採れる野菜は十分冷やす、といったところかと思います。
温度や酸素濃度の他に、湿度も重要です。
一般に、周囲の湿度が低いと、野菜は水分を激しく蒸発させるので、これを防ぐためには、湿度が高い状態の方が望ましいです。
このためには、プラスチックフィルムなどで包装すると野菜から出た水分が中にこもるので湿度が保たれ、有効です。
同時に、酸素濃度も減らすことが出来るので、一石二鳥です。
ただし、湿度に対してもやはり例外があって、カボチャやタマネギは湿度が高いと腐りやすくなるので不適です。
昔の家ではよくタマネギを軒先に吊るして保存していますが、湿気を防ぐため、と思います。
あと、最後に微生物による腐敗を防ぐということで、これもやはり温度を下げることが有効になります。
あとは、収穫する時に切り口をきれいに切り取ったり、丁寧に扱って余計な傷を付けないことも大切です。
湿度は低い方が良いですが、これは上述の蒸発との兼ね合いもありますので、あまり下げられませんね。
ちょっと話は変わりますが、野菜を栽培する時に窒素肥料を抑え気味にしたり、収穫前に肥効が切れるように量を加減すると腐りにくくなることが知られています。
ただし、その分収穫量が減って保存について気にしなくてよくなるかもしれませんが。
参考にした本
農文協 農家が教える加工・保存・貯蔵の知恵
・・・一般的な貯蔵方法から、地域独特の特色ある方法まで、色々な保存方法が書かれていて、とても実践的です。
理論的な面も詳しく述べられており、読むだけでも面白いです。
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こんにちは!キビゴロウさん
返信削除保存の方法参考になりました
いつもビニールに入れて冷蔵庫に放り込んでいい加減に保存していますが 野菜によっては低温がダメとかあるのですね
キビゴロウさんのブログをHeyモーブログでリンクさせていただきましたので
どうぞよろしくお願い申し上げます
相互リンクしていただけたら嬉しいです
今後もどうぞよろしくお願い申し上げます
Heyモーさん、こんにちは。
返信削除私も、野菜の保存は妻にまかせきりで、実はいろいろややこしい点がある、ということを調べていくうちに初めて知りました。
また、相互リンクについては光栄ですので、早速リンクさせて頂きました。
今後ともよろしくお願いいたします。