2011年12月29日木曜日

苔というと、一年中どこでも見られますが、冬になると緑がよりいっそう鮮やかに感じられますね。

 京都の苔寺や石川の兼六園など、コケの名園も数多く知られています。

 私も、真冬の兼六園に行ったことがあります。

 ちょうどその日は雪が降っていてとても寒かったのですが、雪景色の中のコケの美しさは絶品でした。

 乾燥している日には干からびて死んだようにみえても、濡れると輝くように緑が鮮やかに映えますね。

 このようなことから、コケと言えば一般には湿気た場所を好むように思われています。

 しかし、実際のところは色んな種類がいて、必ずしも湿気た場所ばかりを好む訳ではありません。

 スギゴケやスナゴケ等は日光のよくあたる、乾きやすい場所を好みます。

 また、湿気云々とは別に、種類により生育する場所をえり好みする場合が多いです。

 例えば、マルダイゴケという種類は、腐った動物の死骸とか糞とかの上でのみ繁殖したり、ホンモンジゴケという種類は、銅イオンが好きで、銅葺きの屋根から雨水がしたたり落ちるところで繁殖します。

 あと、岩の上で生えている苔もよく見かけますね。

 岩のような硬い場所では普通の植物は根が張れないので育ちませんが、コケはもともと根がないので問題ありません。

 このような根の有る無しもそうですが、コケはには他の植物とは異なる色んな性質があります。

 例えば、繁殖の仕方はかなり特徴的です。

 普通の植物は、花粉が風や生き物によって移動し、めしべの上まで運ばれてそこに付着し、受精しますが、コケは動物のように精子が泳いで卵細胞まで到達して受精します。

 あるいは、他の生物との関わりあいも興味深いものです。

 普通、植物は人間を含めて色んな生き物に食べられますが、苔を食べる生き物はほとんどいません。

 どこかの本で苔を食べてみた、という人の話を読みましたが、ものすごくまずかったそうです( この本 だったか?)。

 このように調べてみると色々と面白い性質を持つ苔ですが、その性質を利用して様々な使い方があります。

 例えば、上述したスナゴケは、乾燥に極めて強く、屋根やビルの屋上緑化などに使われます。

 反対にミズゴケは、湿気たところを好み、水分で腐りにくい性質を持っていますので、保水材などに使われます。

 また、乾燥させれば、スカスカなので梱包の詰め物として使うこともあります。

 あと、これを含めて色んな苔は園芸用に使われたり、庭に植えられたりします。

 身近にいて、実用価値もあり、しかも見私たちに安らぎを与えてくれるコケ。

 見習いたいものです。


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