ここのところ土の話、肥料の話が多かったです。
これらに対して、植物が直接的に関わるのは根の部分、ということで、今回は根について取り上げます。
まず、根とは何か、という点について調べてみたところ、以外と難しいことに気付きました。
普通は、根は土の下にいて、地上部の支えとなるとともに水分や肥料分を吸収する器官と言えます。
ですが、これに当てはまらない場合も多く見受けられます。
例えば、以前、沖縄に観光旅行に行った時に見たガジュマルの木。
根がだらりと空中にぶら下がっているのが印象的でした。
これは気根と呼ばれ、主に呼吸や空気中の水分を吸ったり吐いたりするそうです。
これでは肥料分は吸えませんし、地上部の支えになりません。
他の有名な例としては、ジャガイモがあります。
イモの部分は地下にありますが、根ではなく茎です。
結局、問題の根本は、茎と根が紛らわしいという点になります。
そこで、根の特徴を茎と比較して述べると、
○ 根の先には根冠と呼ばれる器官がついているが、茎にはついていない。
・・・根冠は、根が伸びていく先端の成長する部分を保護するとともに、重力の方向を検知して正しく地下に潜れるようにする働きがあります。
○ 根は途中で分岐して側根ができる。また根には芯の部分に中心柱と呼ばれる器官がある。
・・・これは茎も同様で、途中で分岐して側芽ができますし、茎の芯の部分には中心柱があります。でも、
○ 根は分岐する時、中心柱の中で枝分かれしてそれが根の表層部を突き破って側根ができる。
・・・茎は中心柱はそのままで、表層の皮の部分の組織が分裂して芽が出てきます。
ここが茎と根の最も大きな違いで、この点で根と茎が区別できます。
次に、根の断面構造を見てみます。
先ほども述べた通り、真ん中には中心柱があります。
最表面の薄い皮は表皮、表皮と中心柱の間の部分を皮層と呼びます。
表皮は内部を保護するとともに、水分や栄養分を吸収する働きがあります。
水分や栄養分の吸収は、このメルマガでも何度かでてきた、浸透圧の原理によります。
すなわち、植物体内の養分濃度が薄まるように、水分が体外から浸入してきます。
さらに、表皮の外側には根毛が生えています。
根毛は成長に近い若い部分に多く、水分を吸収する機能が失われた所にはなくなってきます。
このため、根毛は水分を吸収する役目があると考えられてきましたが、最近では細い毛が土に密着して根を固定することにより、根が伸びやすくなる働きの方が大きいと考えられています。
皮層は表皮から浸入してきた水分や養分を中心柱まで伝えます。
また、細胞と細胞の間の隙間が大きく、呼吸のための酸素や二酸化炭素などガスも通ることができるようになっています。
中心柱には維管束と呼ばれる水や養分の通り道があり、この維管束は中心に木部がひだ状に、篩部が木部のひだの間に存在します。
木部は主に水分の通り道となり、篩部は主に養分の通り道となります。
以降、次回に続きます。
参考にした本
高橋英一 「根」物語 地下からのメッセージ 研成社
原襄 植物形態学 朝倉書店
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