今回、雑草について取り上げてみたいと思います。
まずは、雑草の定義から。
大きく分けて二つの定義があります。
一つは、農耕地で作物に有害となる植物のことで、この意味での雑草を「耕地雑草」と呼ぶこともあります。
「農業は雑草との戦いである」とは、まさにこれを表す言葉ですね。
もう一つは、人間の活動した土地に自然に生える植物のことです。
人間の手の入っていない土地に生えている植物は、雑草とは言わずに「山野草」と呼びます。
人間の手の入った土地というのは、耕地を作ったり、踏圧したり、野焼きしたり、その土地の環境を色んな形で乱したところです。
このように、場合によっては過酷な環境でも生育するため、雑草は強いというイメージが定着しています。
よく、逆境に強い人を雑草に例えるのも、このようなイメージからくるのでしょう。
ただし、雑草が強いというのは、実は簡単な理由があります。
雑草といっても多くの種類があり、その場所で適した種類が健全に生育するため、強健に見えるだけ、ということです。
オオバコという雑草を例にとります。
これは、ロゼット状(地面にへばりついたような形状)の草姿をしていて、葉には強い繊維状の維管束(水や養分の通り道)が数本通っており、葉を強くしています。
このため、あぜ道やグラウンドのような人によく踏みつけられる場所でも平気で生育し、群落を作ります。
まさに、強い雑草の代表格とも言えます。
でも、人間が踏み荒らさないような場所では、少し状況が変わってきます。
オオバコも生長できますが、他の植物も生育できます。
多くの植物が生育していく中で、オオバコは背が低いため、他の植物の陰に隠れて日光が遮られてしまいます。
そしてその結果、生育できず枯れてしまいます。
というように、人間がある特殊な環境を作ることにより、それに適応可能な雑草がはびこるということになります。
このように、環境によって生育する雑草が変わってくることから、逆に生えてくる雑草によってその土地の性質を知ることも出来ます。
例えば上述のオオバコはカルシウムの少ない酸性の土壌で生育しやすい雑草です。
逆にアルカリ性の土壌ではナズナやイヌノフグリ等という植物がよく生育します。
従って、これらの植物により、土壌のpHがある程度予想できます。
あるいは、私の使用している畑では、現在はエノコログサ(猫じゃらし)が取りきれないほど生えていますが、以前に比べ背が高くなってきたように感じます。
土が肥沃になるとエノコログサの背丈が伸びることが知られています。
というふうに、土壌中の肥料成分を大雑把に知ることができます。
この他、水質や土壌の汚染状況を簡易的に判断する、という目的でも色んな植物の繁殖が調べられます。
とりあえず、今回はこの程度でおしまいにして、次回以降はもう少し突っ込んだ議論をしたいと思います。
次回 雑草について、その2へ
参考にした本
岩瀬徹・川名興 楽しい自然観察 雑草博士入門 全国農村教育委員会
色々な観点からの雑草の様子を写真入りで述べており、見て
いてとても面白く、また役に立ちます。
私もこの本で、雑草の名前を覚えている最中です。
松中昭一 きらわれものの草の話 岩波ジュニア新書
雑草一般について総括的に述べた本で、分かりやすいです。
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