除草方法についての続きです。
前回述べた内容を復習すると、除草方法の種類として大まかに次の5種類に分かれることを述べました。
1)耕種的防除
2)機械的防除
3)生物的防除
4)物理的方法
5)化学的防除
今回は前回の積み残しとなった残りの3つです。
3)生物的防除
前回は、アイガモ、魚、貝などの大きな生物を例として挙げました。
今回は、微生物を使う手について述べます。
といっても、特定の微生物を培養して散布する、といったことではありません。
米ぬかを散布するだけです。
米ぬかの除草効果とそのメカニズムについては、必ずしも明確ではありません。
良く言われているのは、微生物が米ぬかをエサにして繁殖することにより、
1)土壌表面が酸欠状態になり、雑草が呼吸困難となる
2)微生物の生成した有機酸が、雑草にダメージを与える
ということです。
これらの効果は、あくまで土壌表面のみなので、栽培する植物がある程度まで根を深く張っていれば、少々かかっても害はありません。
私が試した限りでは、発芽したばかりの雑草については効果を実感できます。
ある程度大きくなったものでは、たっぷり振りかけても枯れませんでした。
米ぬかのみでは不十分で、草が生えはじめるのを若干遅らせる程度、という印象です。
4)物理的方法
黒ビニールでマルチングする方法がよく用いられます。
栽培する植物の植穴の、土が露出しているところを除けば、ほぼ完璧に雑草を抑えてくれます。
欠点はマルチを敷くのと、片付けるのが面倒なこと、マルチ資材の寿命が短く、使い回しが何回もできないこと、そのため購入費用がそれなりにかかること等です。
そこで私は、黒ビニールの代わりに新聞紙でマルチングしています(敷く手間はむしろかかりますが)。
新聞紙のマルチングについては、このブログを始めた最初の頃にも述べましたが、だんだん習熟してきたのでもう一度この場で述べます。
トマトやナスのような、株間が広くて長期間育てる野菜に
ついては、新聞紙を二重に敷いて、その上に敷き藁をしています。
これでほぼ1シーズン、除草の手間がかかりません。
敷き藁は補助の遮光のためと、風で新聞紙が飛ばされないようにするため、及び強い雨で紙が破れるのを防ぐためです。
これに対して、コマツナやチンゲンサイ等の軟弱野菜は、株間が狭く、植穴の面積が相対的に大きくなります。
その代わり、栽培期間も短いです。
また、虫に食われやすいので、敷き藁をすると虫の住処を作ってやることにもなってしまいます。
そこで、これらの野菜には新聞マルチした後、不織布をかけてやります。
不織布の役割は、上述の敷き藁の役割プラス、虫の遮蔽効果です。
欠点は、やはり相当面倒なことです。
ただし、黒マルチとの比較では、片付ける手間と、マルチ資材を買う費用等を考慮して、どっこいどっこいかと思います(黒マルチより不織布の方が寿命が長いのでコスト的には有利)。
なお、最近の新聞は、ダイズを原料とするインクが使われているので、安全性についても以前よりはだいぶ高くなっていると思われます。
新聞紙マルチについては、まだまだ改善途中ですが、ご参考まで。
5)化学的防除
言わずと知れた、除草剤を使う方法です。
これに関し、アンケートで除草剤に対する意識調査をさせて頂いたことがあるので、この場で紹介します。
☆農地や市街地等で除草剤を使うことについてどう思いますか?
◆全く抵抗がない (2票) 8%
◆あまり気にしない (6票) 23%
◆農地では除草剤は嫌(農地以外はOK) (2票) 8%
◆どこであれ、除草剤は嫌 (9票) 35%
◆除草剤のみならず、化学薬品は全て嫌 (5票) 19%
◆その他 (2票) 18%
です。
頂いたコメントとしては、
○ 気になるが止むを得ない
○ 土に付くと分解されるタイプなら、散布の仕方が敷地外に飛散しないよう配慮されるなら、いいんじゃないか。
です。
予想外に、除草剤に対する抵抗が強かったです。
「除草剤のみならず、化学薬品は全て嫌」という選択肢はほとんど付け足しのつもりでつけたのですが、多くの投票があり驚きました。
確かに、使わずに済むものならそれに越したことはないですね。
そういう訳で、化学的防除といっても、除草剤を使わない方法について述べます。
ここでは、浸透圧を利用して除草する方法について述べます。
植物は、根からチッソやリン酸等の養分を水に溶けた形で取り込みますが、これは、植物の体内の養分濃度よりも土壌中の養分濃度の方が高いため、濃度が同じになるように、高い方から低い方に養分が流れていくことによります。
では、土壌中の養分濃度がとても高いとどうなるかというと、植物の体内に養分ばかり流れてきますが、水分が入ってこなくなり、さらに濃度が高いと体内の水分が逆に土壌中に流れていき、結果としてしおれてしまいます。
従って、これを利用します。
使う肥料としては、尿素や硝安(硝酸アンモニウム)など水に溶けやすいものが適しています。
雑草が小さい時や、まんべんなく広範囲に効かせる時には、ある程度濃い濃度で、水に溶かしてかん水して散布します。
大きな雑草であれば、粉のまま直接振る方が効果が高いです。
これらの際、栽培している植物に影響が及ばないよう、十分離して散布する必要があります。
また、雨で流れてしまうと意味がないので、晴れた日に行いましょう。
ただし、今回のアンケート結果を見ると、化学薬品全てに対して懸念を持っている人も意外に多そうでした。
尿素、硝安もお嫌いかもしれません。
この場合、使うものは別段肥料でなく、水によく溶けるものなら何でもよさそうなので、安全性や自分の好みを考慮して、使う材料を決めればよいと思われます。
例えば、砂糖とかクエン酸、重曹などが考えられます。
このうち、砂糖は微生物の栄養源にもなるので、上述の米ぬか的な効果も期待できます。
さらに、米ぬかと違ってすぐに水に溶けて土にしみ込み、何日も粉のままでいることもないので、虫が湧いてくる危険性も少なそうです。
そこで、これを書くために先日ちょっとまいてみました。
結果は上々で、ピンポイントで砂糖をかけて、狙った草を枯らすことができました。(写真は、場所が少しずれてしまいました)
なかなかの優れものではないか、と思います。
ただし、使用量はどうしても多くなる(分子量が大きく、重量のわりに水に溶けている分子の個数は少ない)ので、コスト的にはどうかと思いますが。
なお、砂糖やクエン酸を使うというのは単なる思いつきです
ので、お試しする際には自己責任でお願いいたします。
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