2010年1月28日木曜日

都市近郊農地の光と影 その2

都市近郊農地の光と影 その1からの続きです。

私の住居から数軒隣に住んでいた、近所のおばあさんが亡くなりました。

一人暮らしでした。

おじいさんは数年前に死に、2人の娘は県外に嫁入りしていました。

いわゆる孤独死で、亡くなって何日かたって近所の人が見つけました。

その家は、もともと村の素封家で、江戸時代では大地主だったそうです。

農地改革後も、当地としては大きな田んぼを持っていたそうです。

家の敷地だけでも数百坪ありました。

おばあさんが亡くなったことが分かってあと、娘さんが戻ってきて、そしてすぐ帰っていきました。

近所に知らせるでもなく、檀家となっているお寺のお坊さんに葬式を挙げてもらうでもなかったそうです。

姉妹だけでお葬式をしたのかもしれませんが、近所の人(縁戚者も含めて)はどう葬ったか誰も知らないそうです。

近所に、この家のお墓がありますが、そこのお墓にも祀らなかったそうです(お坊さん談)。

それが去年の10月初めくらいの話です。

そして11月の終わり頃、突如ブルトーザーがきて、おばあさんが住んでいた家は瞬く間に取り壊され、更地になってしまいました。

近所の人が聞いたところ、その土地はすぐに売りに出され、どこかの不動産屋が買い取ったそうです。

そして、そこには4軒の建て売り住宅が建つそうです。

なお、このお正月も、その家の先祖墓で娘さんを見かけることはなかったそうです。

起こった出来事は以上です。

この出来事について、近所の人たちは皆かんかんになっています。

そして、会う人ごとにこの話で持ちきりになっています。
それで私も知りました。

昔ながらの考えの人は、身代を守っていくのが何よりも大事なことなのに、元大地主の庄屋の娘がいともあっさりとつぶしてしまいました。

娘さんにとっては、相続税が払えないとか何とか理由があるのかもしれませんが、葬式を巡る今までのやり方から、そんな風には好意的にはとられません。

私としても、あまり楽しいお話ではないですが、昔ながらの土地をみんなが守っていけば、私がこの土地に住むこともなかったし、新たに農地を借りる余地もなくなります。

でも手放すとすると、田んぼでなく宅地や商業地になってしまいます。

その方がはるかに儲かりますから。

私の家の前は近所の人の田んぼなのですが、これをつぶしてガソリンスタンドにしてしまうという話もあります。

今は不景気で立ち消えになったようですが、景気が良くなるとどうなるか分かりません。

就農への夢や希望と、この土地の現状に対する焦燥感など、いろいろな思いの駆け巡る出来事でした。

クリック切望

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2 件のコメント:

  1. 考えさせられる話ですね。

    私の家内にも当てはまりそうな話です。
    家内も娘二人の長女です。
    元大地主ではないですが、家内のお爺さんの時代には10町歩の畑をもってたらしいです。農地開放と畑の売り食いで1町歩になり、その1町歩で米しか作ってない兼業農家でした。そのお爺さんは、地区の民生委員をしてほとんど働かなかったらしいです。家内の親はサラリーマンで現在定年になり、畑に草を生やさない程度に農業をしております。
    家内の妹も嫁に行き県外に居て、帰ってきそうもないです。私としては、家内の妹に後を継いで欲しいのですが、旦那さんが了解しないとのことです。旦那の定年(10年先)後に再度話をするつもりです。

    芋苗生産農家

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  2. 豊田さん、こんにちは。

    奥様のお話を読ませていただいているうちに、今回の出来事も、女性特有のドライな性質が現れた結果かという気がしてきました。

    似たような例としては、家を建て替えるために今まで住んでいた家を壊したりしていると、旦那さんは思わず泣いてしまったりするけれど、奥さんは平気な顔をしていると聞いたことがありますし、昔のラブレターを男性はいつまでもとっているけれども、女性はさっさと捨ててしまうともいいます。

    今回のことも、故郷や実家を捨てた、という意識をどうしても持っていましたが、女性には、そのような意識はそもそもあまりないのかもしれませんね。

    あまり女性心理に詳しくありませんが。

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