ここのところ、土と肥料との関係について調べてきましたが、今回は物理性について述べてみたいと思います。
通常、土壌の物理性というと土の粒子の大きさや充填状態を指します。
これが重要である理由は、植物の生長が水分、空気、土(固体)の三相分布に大きな影響を受けるためです。
植物は、根から水分を取り入れますし、呼吸のため空気も必要です。肥料成分は土に吸着していたものが水に溶け出してきて、根から吸われます。
ということで、これら三相が適度に存在するのが望ましく、これを達成するのが団粒構造、ということになります。
団粒構造とは、土の粒子が集合して固まりを作っているものを言います。
土の粒子は大きさにより、礫(2mm以上)、砂(0.02〜2mm)、シルト(0.002〜0.02mm)、粘土(0.002mm以下)に分類されますが、一般的に団粒構造となるのはシルト、粘土です。
シルトや粘土は粒子径が小さいので、水にぬれても乾きにくくなります。
粒子径が小さいと粒子と粒子の隙間も狭くなり、そうなると重力よりも表面張力の方が強くなるからです。
隙間の間隔による重力と表面張力の強さの割合は、だいたい0.05mmくらいがしきい値になるようです(粒子の物質により異なりますが)。
従って、大雑把に言って0.05mmより大きい砂、礫は水はけが良くなる代わりに保水性が悪くなります。
シルト、粘土は逆に水はけが悪くなるのですが団粒構造となることによって、団粒と団粒の間の隙間が0.05mm以上になると、排水も良くなります。
なお、土の粒子が団粒をつくらずにそのまま堆積しているものを単粒構造と言います。
先ほど、粒子径が小さいと乾きにくい、と書きましたが、前回紹介した「土のはたらき」という本では、単粒構造の土は乾きやすいと書かれています。
理由は書かれていませんでしたが想像するに、小さい隙間が連続的につながると、湿った場所から乾きはじめた場所に毛管現象で水が移動するためではないかと思います。
何はともあれ、植物にとって団粒構造の土が望ましいとして、次に団粒構造をつくるための方法について述べたいと思います。
一般に、作物を植える前に、土をトラクター等でよく耕します。
これは団粒構造ではありませんが、土をふかふかにして空気層を確保する目的で、団粒構造と似たような効果を期待しています。
しかし、火山性土ではもともと空気層を十分含んでいるので、耕耘したときの隙間には影響を及ぼさないとの報告もあります。
また、土壌の水分が多すぎたり少なすぎたりした状態で耕すと、団粒構造が破壊されることにより、その後の雨等でかえって土が固まってしまいます。
さらに、耕しすぎると表面の腐植層がなくなり、団粒構造が失われがちになります。
これは、生物による団粒構造の生長促進効果があるからです。
接着力でも特に着目すべき効果があるものがミミズです。
ミミズは土の中を動き回ることにより通り道に穴ができ、排水が良くなります。
また、ミミズの糞は、それ自体が団粒構造を持つとともに、糞に含まれる成分が土の粒子同士を接着させる接着剤としての働きを持ちます。
ということで、団粒構造を発達させるためにはあまり耕しすぎないこと、ミミズを導入することがよさそうです。
この件についてはまた今度、引き続いて述べてみたいと思います。
→不耕起栽培の物理性について
参考にした資料
金沢晋二郎 不耕起畑の土壌の特性と生物性 農業技術体系 追録第5号・1994年)
中村好男 土の生きものと農業 創森社
クリック切望
↓
「耕しすぎると表面の腐植層がなくなり、団粒構造が失われがちになります。」耕しすぎてもいけないとは、知りませんでした。
返信削除参考になります。
昨日、今月の20日頃にオクラを作る畑が、この暖かっさと雨で草が大きくなり、草とりをしたところミミズが沢山いました。
ミミズが沢山いるということは元気な土壌で、今年もオクラは豊作、嬉しくなってきました。
芋苗のネット注文も2日ほど前よりボチボチあり、昨日も3件の注文がありました。
3件の内、1件は新規の方、2件は昨年も注文をいただいたリピーターの方でした。
徳島の芋苗生産農家
豊田さん、こんにちは。
返信削除耕すという行為一つとってもなかなか難しいものですね。私も学ぶべきことがいっぱいあるな、と実感しています。
私のところも草が生えてきました。でも最近雨が多くてなかなかとれません。