2013年12月21日土曜日

環境破壊と農業

 前回は帰化植物の話で、遺伝子汚染について考えてみました。

 調子に乗って今回もその手のネタで、環境と農業の関わりについてです。

 農業には、農産物の生産以外にも環境面で、多面的な機能があります。

 例えば、雨水を水田で一旦貯蔵し、時間をかけて徐々に川に流すことにより水害を防止する働きがあります。

 あるいは、棚田の管理で斜面の崩壊を早期に発見、手当てすることにより土砂崩れを防止する働きもあります。

 その他、地下水の浄化や生態系の保全、土壌の流出防止等々、金額にして年間5兆円を超える効果があるとも試算されています。



 一方で、農業による環境汚染も深刻です。

 そもそも農耕という行為自体、自然の植性を破壊して土壌の劣化をもたらします。

 農薬の多投入や、過剰施肥による汚染も深刻です。

 農薬、化学肥料使用量とも、日本はOECD主要国中最高レベルにあります。

 日本の地下水のうちの6%が、硝酸態窒素や亜硝酸態窒素の環境基準の上限値を上回っていますが、この原因としてお茶や葉菜の多肥栽培が大きいと言われています。


 その割りには、農産物生産に置けるエネルギー効率はOECDの中でも最低レベルにあるとされています。

 ここでのエネルギー効率は、主に農業機械を使うために使用した石油燃料のみを考慮していて、肥料や農薬製造のためのエネルギー使用は含まれていません。

 気象条件や消費者の嗜好など、仕方が無い面もあるのでしょうが、それにしてもこう言った面では日本の農業のレベルが相当低いようで驚きです。



 そういうわけで、どうせなら環境保全と生産を両立させたいですね。

 具体的には化学肥料の使用を控えて有機物を利用すること、耕耘しすぎないこと、輪作や混植等で農薬の使用量を減らすこと、他色々あります。

 ただし、こういったやり方は手間がかかるし、品質もばらつきます。

 より精密な管理とか、わずかな変化も見逃さない注意も必要です。

 さらに化学肥料の代わりに有機物を利用するのは、重いし大変です。

 このように困難は多くありますが、それでも現状のような資源を浪費する状態が続けば、いずれ枯渇することは確実です。

 農業は今は環境負荷の大きい産業ですが、環境を改善することのできる唯一の産業でもあります。

 まずはできるところから、ほんの少しでも環境負荷を抑えるやり方をとっていきたいものです。


参考にした本

森田茂紀 阿部 淳 大門 弘幸 栽培学  朝倉書店

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