光と花芽の形成、その1 からの続きです。
季節の移り変わりによる日の長さの変化で花芽の形成、生育の仕方が変わってきます。
ただし、この関係は植物の種類によって異なります。
トマトやナス、エダマメ等は日長に関係なく花芽が出ます。
ホウレン草や春菊、レタス等は長日植物といって、春になり日が長くなるのを感知して花芽ができます。
逆に、キュウリ、カボチャ、イチゴ等は日が短くなると花芽が出る短日植物です。
余談ながら、日長以外に温度の高低も花芽の形成に影響を受けます。
キャベツやタマネギ等は、低温に反応して花芽が出来ます。
さらに、花芽が形成されるのと、その花芽が生育する条件は必ずしも同じではありません。
春菊は、上述した通り、日が長くなると花芽が出来ますが、温度が高くならないと花芽が成長しません。
かなり話はややこしくなりますね。
話は戻って、植物はこのような日の長さをどうやって感知しているのでしょう?
これには、フィトクロムと呼ばれるタンパク質が関与していることが知られています。
このタンパク質は、光(もっと言えば赤い色を含む光)を受けている時といない時で構造を変える性質を持っています。
そして、明るくなったり暗くなったりする周期を、植物がこのタンパク質を介して感知し、望む条件を満たせば花芽が出来る、という仕組みになっています。
まるで電子回路のような、機械的な仕組みですね。
ただし、フィトクロムの変化が具体的にどのような過程を経て植物の反応に関与しているかは、必ずしも十分には分かっていないようです。
ちなみに、フィトクロムが光を受けて変質するまでの時間は1秒とか2秒とか、それくらいの期間です。
これに対し、花芽を形成するまでには10日くらいかかりますので、時間感覚が随分違いますね。
フィトクロムと花芽との関係についての、他の様々な特徴について述べると、まず、フィトクロムによる明るさの検知は、主に葉で行うことが知られています。
また花芽形成は、暗い状態が一定時間以上続くことが必要であることが知られています。
従って、暗い時間帯に、短時間でも光を当ててやれば花芽は出来ません。
これを光中断と呼びます。
逆に葉を遮光したり、切除したりすると、花芽は出来やすくなります。
ただし、明るい時間と暗い時間のリズムが重要だ、との指摘もあります。
光と花芽形成の関係一つとってもなかなか複雑で、一筋縄では行きませんね。
参考にした本
古谷雅樹 植物は何を見ているか 岩波ジュニア新書
・・・中高生向けに書かれた本で、最初の方は興味深く読み
進められます。
しかし、読み進めるにつれ、だんだんと難しくなっていって、
最後の方はかなり骨が折れます。
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