前回からの続きです。
大雨や梅雨で水浸しの状態が続くのは多くの野菜には好ましくありませんね。
これを防ぐためには、圃場の排水をよくして降雨による水を速やかに排出しなければなりません。
勿論、雨が降らない時の水持ちも良くなければなりません。
で、これらを達成するのが、団粒構造ということになります。
土の小さな粒子が集まって塊(団粒)をつくり、その塊がごろごろと集まって土壌を形成している状態です。
水は団粒と団粒の隙間から流れて排水されますが、団粒内では水持ちがよくなります。
ただし、畑は通常上部(耕土、表土)と下(心土)に分かれています。
表土をいくら上手に管理して団粒構造にしたとしても、心土
までは、なかなか手が回っていない場合が多いと思います。
表土、心土とも排水がよければすばらしいですが、実態としてはそのような圃場はあまりないようです。
そして、梅雨のようにまとまった雨に対しては、実は表土よりも心土の善し悪しによって全体の排水が左右されてしまうのです。
ちなみに、私が耕作しているのは水田転換畑で、心土が粘土層で排水が悪く、まとまった雨が降るとなかなか水が抜けません。
逆に関東南部に多い黒ボク土などでは、排水がよいようです。
ただし、このような土でも、長年トラクター等で頻繁に耕耘していると耕盤が出来ていて、これにより排水が悪くなっている可能性があります。
従って、心土を改良する必要があります。
改良方法としては、暗きょを作るのが最も効果的です。
結構な費用がかかるのが難点ですが。
他には、サブソイラーという大きな爪のついたトラクターで心土を突き刺して穴をあける方法もあります。
これらの力任せの方法の他に、根を深くまで張らせる植物を植えて、耕盤を植物に破ってもらう方法もあります。
出来るだけトラクター等の重い機械を入れずに、麦や玉蜀黍などの根が深く張る植物を植えます。
この方法は簡便ですが、時間をかけて少しずつ、という根気のいるところが難点です。
最後に、ご参考までに土の状態以外で排水に影響する因子についてまとめると以下のようになります。
まずは、温度の影響があります。
昼間は土壌表面は内部よりも暖まり、夜は内部よりも冷えます。
そして、水は温度の高い方から低い方に流れやすくなります。
従って、昼間の雨は下に流れやすく、夜の雨は流れにくくなります。
だからどうすれば良いか、といわれてもどうしようもありませんが。
また、泡があると土の隙間のくびれた部分に入り込んで、水の流れを妨げます。
この効果は相当大きく、泡のない時にくらべ、100分の1から1000分の1程度まで排水の速度が遅くなります。
この泡というのは、植物の根が呼吸により二酸化炭素を排出したり、微生物が有機物を分解したりした時に発生します。
排水といった意味では、不都合ですね。
しかりこれも、だからと言って微生物を撲滅させる訳にもいきませんね。
微生物は土を肥やすとか、団粒構造をつくるとか、別のメリットの方が非常に大きいですし。
参考にした本
東京大学農学部編 土壌圏の科学(普及版) 朝倉書店
・・・難しいですが、何度も読みなおすと何となく理解できて、しかも興味深い内容が書かれています。
私が読んだのは普及版ですが、正規版もあります。
少し高いです。
犬伏和之、土壌学概論 安西徹郎編 朝倉書店
・・・こちらは、土壌の排水に関する内容は少ないです。
土壌について全般的にむらなく記載しています。
少し難しいです。
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