2013年8月27日火曜日

アグリフードビジネスと地域力

 先日、「アグリフードビジネスと地域力」というタイトルで(株)ナチュラルアート代表取締役の鈴木誠氏の講演会があったので、行ってきました。

 最近、聞きにいった講演の中でも特に興味深く、参考になりましたので、内容をご紹介します。



 講演では、まず現在の農業を取り巻く環境としてTPPについて論じられていました。

 鈴木氏によると、TPPで日本の主張する非関税5品目が認められることはまずないだろう、と考えられています。

 これによる農業の経済規模は現状7兆円から3.5兆円まで減ると見積もっています。

 ただし、農林水産省の試算のような、コメ2兆円のうち1.9兆円がカルフォルニア米に取って代わられることはありえない、とのことです。

「TPPでコメが壊滅的打撃をこうむる」などと十把ひとからげで論じるのではなく、用途別に考えることが重要、と強調されていました。



 コメといっても、自宅で炊いて食べるご飯用のものと、加工用に分かれます。

 加工用でも、さらにコンビニなどの弁当用や酒米、工業用(糊など)、等々に分かれます。


 自宅用や酒米はTPPによる影響はほとんどないことがと予想されますが、弁当用や工業用はほぼ輸入品に取って代わられると予想されます。

 そういったことで、現在の農業のパイは凹むことは避けられませんが、だからといって日本の農業が崩壊する、というわけではありません。

 それどころか、TPP後においても、日本農業は有望な成長産業であると考えられています。


 今までは農業ビジネス=農産物生産高でしたが、今後は裾野の広がりを取り込んでいくべきです。

 農産物生産のみですと9兆円ですが、農業関連の二次、三次産業まで含めると、経済規模は90兆円にも達します。

 農産品を加工したり、直接小売したり、イベントを開くなど、多様な取り組みが考えられるでしょう。


 要は冷静に自分たちが狙っているもの、目指しているものが何かを考えるべきです。

 そのためには、現状認識と目標を数字で考えることが重要です。

 目標も、どこに売るか?ではなく、いくら売りたいか?で変わります。

 何億円売りたいのか、あるいは何百万円なのか。



 農業は何百パタンにもカテゴライズでき、その目標により手法も自ずから異なります。

 大量の借金を背負って、大規模化、効率化を図り大きく儲けるという考えでもいいでしょう。

 しかし、その場合は、借金を増やすことを自分で納得して、そのリスクをとる覚悟がある人がやるべきです。


 あるいは、一人暮らしで年金をもらいながら1反ほどの土地を耕して、産直市に少量だけ出荷し、休日に孫が遊びに来たらちょっとしたお小遣いをあげる、

そういった農業もまったく否定する必要もないし、十分幸せな生活として認められます。


 それぞれの考えで、それぞれのパタンをを考える必要があります。





 今、農家は儲からないといって苦しんでいますが、もうあと一辛抱です。

 日本では、TPPによりパイが小さくなると騒いでいますが、世界的に見れば、需要はむしろ旺盛になっています。

 ここ10年で、麦や大豆などの農産物価格は、2倍とかそれ以上に跳ね上がっています。

 今は日本には世界から食料が入ってきていますが、今後もそうであるとは限りません。

 円安になり輸入する力が落ちてきたり、他国で高い値段で買う国が増えてくる結果、食糧不足となる時代が来ます。

 それも近い将来です。

 そうなると価格が上昇し、農家にとって適正な値段(すなわち、再生産可能な値段)で農産物を売ることができる時代がまもなく来ます。

 そうなったときのためにも、今から新しい農業、商品を自己責任で考えておくべきです。


・・・と、ざっとこんな内容でした。

 鈴木氏は声も大きく、エネルギーに満ちあふれていて、大変元気付けられました。

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