酵素 その1からの続きです。
酵素といっても、沢山の種類があって、性質も色々です。
必ずしも全てに該当する訳でもありませんが、大雑把に特徴を述べると、
酵素は特定の物質のみしか反応に関与しないことが知られています。
例えばウレアーゼという酵素は尿素をアンモニアに変えます。
農業にとってなくてはならない物質ですが、分解を促進するのは尿素だけ。
硫安にも石灰窒素にも効きません。
この理由は、酵素の構造によります。
酵素には、活性中心というくぼみがあって、その中にぴたりと収まる物質だけが反応に関与します。
大きさで選別されるわけです。
また、 酵素は特定の温度で最も作用が活発になります。
普通の化学反応であれば、温度が高いほど反応が進みやすくなる場合が多いですが、酵素はそうではありません。
だいたい、最適温度は35℃〜55℃くらい。
温度が高すぎると、酵素が変質してしまい、働かなくなります。
pH(酸度)にも最適範囲があります。
pH6〜8くらいの中性域でもっとも作用が活発になります。
温度、pHとも、ちょうど動物の体内と同じくらいですね。
実際、酵素は生物の中の代謝反応の全てに関与するとされています。
言い換えれば、全ての生物は酵素を作り出す能力を持っています。
といっても、生物の種類によって、つくる酵素の量はかなり異なります。
大雑把に言えば、微生物>植物>動物の順。
微生物が最も多いです。
微生物は、エサが自分の体よりも大きいため、あらかじめ酵素を放出して分解しておく必要があるためです。
従って、酵素を利用するには微生物を繁殖させるのが有効ということになります。
元々、酵素という名前は発酵の元ということ。
EM菌やえひめAI等の微生物資材も、酵素を導入する影響が大きいと思われます。
これらの微生物資材を散布したからといって、一般の耕地でこれらの微生物群のみが増殖することは多くありません。
つまり、これらの微生物素材が有効なのは、酵素を初めとした成分が植物に働きかけるためではないかと思います。
とは言え、酵素を利用するためには、有用微生物を出来るだけ長く生かしておくに越したことはありません。
EMボカシ等の固形物肥料を使用する際には、全面散布でなく塊をポイント施肥するようにしましょう。
塊の状態でいれることにより、微生物群がコロニーを作って、絶滅するのを遅らせることができます。
また、微生物は紫外線で死滅するので、必ず覆土しましょう。
微生物の話がいつの間にか中心になってしまいましたが、植物自体にも酵素は多く含まれています。
中でも花や種や茎の先端、根の先端などの成長点付近が多いです。
よく植物の抽出液を農薬代わりに撒く場合がありますが、その際は成長点付近の部位を使うようにすれば効果が高まるかもしれませんね。
参考にした本
薄上 秀男 発酵肥料で健康菜園 農文協
薄上 秀男 発酵肥料の作り方、使い方 農文協
・・・著者は、元農業指導員で、農薬に長期間さらされることによりハウス病にかかってしまったそうです。
医者にも手の施しようがないと匙を投げられたのですが、自力で発酵食品を中心とした食事により病気を治したそうです。
このような厳しい試練を克服した体験に基づいた、説得力にあふれる内容が書かれています。
上記の体験談については上の「健康菜園」の方で詳しく述べられています。
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