前回のアブラムシに引き続き、今回も害虫シリーズでいきたいと思います。
今回はヨトウムシです。
私の野菜栽培の上での最悪、最凶の敵です。
こいつのおかげで、私のハクサイは野菜ではなく、ハクサイの針金模型になってしまいます。
憎んでも憎みきれない虫です。
成虫はただの地味な色の蛾です。
幼虫も地味な色の芋虫ですが、これが色んな植物を暴食します。
昼間は土の中に隠れていて、夜になると地上に上がってきて食べます。
それで、夜盗む虫という意味でヨトウムシと名付けられています。
生態からして嫌らしいやつです。
分類上は昆虫綱鱗翅目ヤガ科ヨトウガ亜科になります。
鱗翅目はチョウや蛾の仲間、ヤガ科は夜蛾で夜に活動するもの、という意味です。
この中で、ヨトウガ、ハスモンヨトウ、シロイチモジヨトウが野菜栽培にとっての重要な害虫となります。
個々の特徴について述べます。
○ヨトウガ
寒さに強く暑さに弱いです。
地方によって異なりますが、4〜5月頃と、9〜10月頃に発生します。
寒冷地では4、5月頃は少なく、7月〜10月の発生が多いです。
真冬と真夏はサナギになって土の中にいます。
幼虫は、生まれたばかりを1齢、あとは脱皮を繰り返すごとに2齢、3齢、4齢、・・・と呼びますが、ヨトウムシは6齢が最終で、その次にサナギを経て成虫になります。
生まれたばかりの時は緑色をしていますが、5齢〜6齢の老齢幼虫になると灰色っぽい色になります。
○ハスモンヨトウ
暑さに強く寒さに弱いです。
春先はほとんどいませんが、暖かくなるにつれて世代を重ねて増え、9〜10月に最も多くなります。
幼齢時は緑色をしていますが、老齢幼虫になると黒っぽい色になります。
○シロイチモジヨトウ
暑さに強いです。
ハスモンヨトウと同様に、暖かくなるにつれて世代を重ねて増え、
9月頃に最も多くなります。
主にネギを加害します。
幼齢時は緑色をしていますが、老齢になると黒っぽい色になり、体の側面に白い線ができます。
これらヨトウムシ共通の特徴としては、色合いは個体差が大きく、一様ではありません。
老齢幼虫になると、薬が効きにくくなります。
また、こういったヨトウムシに限らず、一般に虫は雨に弱いです。
雨は弱酸性(pH5〜6)のためです。
水が空気中の炭酸分を吸収して、H2O+CO2→H2CO3で炭酸水ができることによります。
虫に酸性や塩基性の水をかけると、浸透圧により虫の体内の水分が外に溶け出してしまいます。
成虫だと固い殻があったり、水をはじく羽があったりしてある程度耐えられますが若齢の幼虫はこういった環境には弱いです。
ついでに言うと、卵から虫がふ化するのは満月頃が多いと言われています。
従って4月〜5月の幼虫がふ化する頃に雨が多いと発生は抑えられます。
今年の今の時期の満月は3月30日、4月28日です。
3月末は雨が多かったですね。
あと4月末〜5月初めに雨が降れば今年のヨトウムシの被害は少ないことが期待されます。
ただし、ゴールデンウィークがつぶれるという別問題が発生しますが。
参考にした本
梅谷献二、岡田利承 日本農業害虫大辞典 全国農村教育協会
植物防疫講座 第三版 害虫・有害動物編 日本植物防疫協会
佐藤仁彦 山下修一、本間保夫 植物病害虫の辞典 朝倉書店
他
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