安全な野菜の重要な要件の一つとして、硝酸イオンの含量が低いことが挙げられます。
そこで、今回は植物が窒素を吸収する過程について調べてみました。
これをもとに、硝酸イオンの低い野菜を得る栽培方法について考えて行きたいと思います。
まず、植物の体の中で、窒素は炭素、酸素、水素に次いで4番目に多い元素です。
炭素、酸素、水素は光合成により植物の体の中に取り込まれますが、窒素は主に根から吸収します(葉面への液肥散布のような方法もありますが)。
根(や葉面)から吸収する窒素の形態は、主にアンモニウムイオンか、硝酸イオンです。
他にも尿素や各種アミノ酸など色々ありますが、これらの形態で取り込む量はごくわずかです。
尿素や各種アミノ酸は、植物が取り込むよりも先に微生物が分解することが多いためです。
微生物の働きによりアンモニウムイオンに、あるいはさらに分解されて硝酸イオンとなっています。
従って、植物の方でもアンモニウムイオンを好んで吸収する好アンモニア性植物と、硝酸イオンを好んで吸収する好硝酸性植物に分かれます。
畑作物では好硝酸性植物が多いのに対し、水田で育つイネは好アンモニア性植物です。
イネがアンモニアを好む理由として、水田のように常時水に浸かっている場所では、土壌中の酸素分が少ないため、多くがアンモニアの形態となっていることが挙げられます。
逆に畑では、土壌中の酸素分が多いため、硝酸イオンの形態がメインです。
以下、その2に続きます。
参考にした本
吉田企世子 森敏 長谷川和久 野菜の成分とその変動 学分社
塩井祐三 近藤矩朗 井上弘編 植物生理学 オーム社
山谷知行 駒嶺穆 朝倉植物生理学講座(2)代謝 朝倉書店
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