これまでアブラムシ、ヨトウムシときて、今回はアワノメイガです。
いずれ劣らぬおぞましい虫達ですが、発見した時のインパクトの強さにおいて、このアワノメイガに勝るものはないと思っています。
もしもホラー映画やジェットコースターが好きな人は、スイートコーンを無農薬で放任栽培してみることをお勧めします。
立派なスイートコーンを収穫して、いざ皮をめくってみると・・・
10mmくらいのウジ虫のようなやつが上半身を浮かせて、体をくねくねさせながら蠢いています。
「ひっ!」と声を上げてスイートコーンを取り落とすこと請け合いです。
アワノメイガは、そもそも名前からしておどろおどろしいです。
アワは粟、メイガは螟蛾です。粟につく冥土の蛾?
この螟の字、漢和辞典で調べても、このメイガだけの意味しか持っていないようです。
ただし、イネの害虫のニカメイガがもともとの由来で、アワノメイガはメイガ科の準主役級といったところです。
アワノメイガは名前の通り、粟をはじめとして、キビ、タカキビ、トウモロコシなどにつきます。
この中では、トウモロコシを最も好みます。さらにその中でも、スイートコーンを好みます。
温暖地では年3〜4回発生します。
冬はトウモロコシ等の茎の中で越冬し、春にサナギになります。
成長のステージによって集まる場所が変わってきます。
生まれて間がなく、トウモロコシも小さいうちは成長点のあたりにいます。
トウモロコシが大きくなって、てっぺんに穂(雄穂)ができるとそこを食害します。
もしも雄穂が白くなって途中から折れていると、それはアワノメイガが食害したものです。
幼虫が大きくなって、トウモロコシに実がなってくると実の付け根と茎の隙間に潜み、そして十分な大きさになったら実の中に入り込みます。
侵入するのは、実の先端の絹糸のような部分(雌穂)からと、実の腹の部分から直接穴をあける場合とあります。
メイガ科幼虫は穿孔能力が強く、固いトウモロコシの皮でも穴を開けられます。
中に入られてしまうと、薬をまいても効かないので取って捨てるしかありません。
以上のような生態を理解した上で対策を立てます。
まず、前作のトウモロコシの茎が残っていると、そこに幼虫が潜んでいる可能性があるので、焼いてしまうか細かく砕いて土にうない込みます。
次にトウモロコシを育てている最中についてですが、雄穂出た時には、そこから食害されるのを防ぐため、取ってしまうという対策が考えられます。
ただし、雄穂を取ってしまうと受粉できなくなってしまうので、取った雄穂を雌穂にこすりつけて受粉させるか、あるいは雄穂が出て一週間くらい待ってから取るようにします。
雄穂を残していて、上述のように白く折れていると、中にアワノメイガがいるので、苗全体、もしくは茎の上の方を切り取って(切り取った中に虫がいるのを確認して)捨てましょう。
また、普段から葉の裏や実と茎との付け根をよく観察しておきます。
乳白色や褐色のつぶつぶがあれば、これがアワノメイガの卵かもしれません。
丁寧に除去するとともに、薬をまいておきましょう。
メジャーな野菜なのでデナポン粒剤、スミチオン乳剤、エルサン乳剤等登録されている農薬はいろいろあります。
植物全体に散布するのも大変なので、実と茎の付け根に部分的に撒くだけで効果は高いです。
酵母発酵したものに誘引される性質もあるようです。
砂糖水にドライイーストを混ぜて菌を培養させ、その液をペットボトルに入れておくと呼び寄せられるそうです。
私はやった頃はなく、今度試してみようと思います。
参考にした本
植物防疫講座 第三版 害虫・有害動物編 日本植物防疫協会
青木恒男 青木流野菜のシンプル栽培 農文協
他
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成虫(蛾)はよく見かけます。アワノメイガって名前なんですねぇ・・・
返信削除ルーラル前田さん、こんにちは。
返信削除私にとっては、成虫はただの地味な蛾、という感じで、あまりなじみがないですが、幼虫はよく見ます。
今年はなぜか、あまり出ませんでした。
こんにちは!農業新聞に、兵庫県の篠山で、55℃のお湯を定期的(3~5日間隔)に上からかける事で、防除率 95%!を達成している農家さん取り上げられていました。来年、僕の畑でも、試してみようと考えています!
返信削除窪さん、こんにちは。
返信削除なるほど!そんな手もあるんですね。
農業新聞も、もっと早く教えてくれればいいのに。
温度に十分気をつければ、トウモロコシ以外にも使えそうですね、