2011年2月4日金曜日

ミミズについて

前に、農地の土壌劣化について書きましたが、これに引き続く話題として、ミミズについて調べてみることとしました。

ミミズと言えば、土を健康にすることがよく知られていますが、具体的にどのような効果があるのかについては今ひとつ不勉強だったので、今回取り上げます。

まず、ミミズの特徴について。

ミミズは、環形動物門というグループに属する無脊椎動物です。

細長い円筒状で、沢山の節に分かれています。

前の方に環帯という、大きな節に見える部分があります。

ミミズという名前の由来は、目がないので「目見えず」から来ているそうです。

ただし、表皮中の感覚細胞により、光を感じることは出来るようです。

ちなみに、英語ではミミズは「earthworm」(地球の虫)と呼びます。

この名前にふさわしく、ミミズは地中にいて、土砂を地上の食物と一緒に食べます。

そして、体の中の砂嚢と呼ばれる器官ですりつぶし、消化吸収したあと糞尿を出します。

この糞尿が優れもので、「ミミズは土を肥やす」といわれるもととなります。

土の中のリン酸やカルシウムは、他の成分と結びついて固化し、肥料として働かなくなっている場合が多いのですが、ミミズの糞はこれらを水溶性に変え、植物に取り込まれる形にします。

また、肥料成分を濃縮する働きもあります。

ミミズの種類や土壌の状態にもよりますが、糞尿中で、窒素の量は約3倍、リン酸は2〜3倍、カルシウムやカリウム、マグネシウムは1〜2倍に高まります。

その上、アミノ酸もあります。

ミミズのいない土に比べ、アミノ酸の種類は10倍以上、量も数倍増えるという報告もあります。

これまで何度か述べましたが、アミノ酸は直接、根から体内に取り入れられて、植物の生長を促進させることが分かってきています。

さらには、シベレリンやサイトカイニン、オーキシン等の植物の生長ホルモンにかかる成分まで含まれるそうです。

ついでに言えば、ミミズそのものも、死骸となると窒素分として働きます。

あまりに至れり尽くせりで、ちょっと出来過ぎの感もありますね。

以上は化学成分としての効果を書きましたが、ミミズの働きはそれだけではありません。

ミミズは、「自然の鍬」とも言われます。

ミミズは日中は穴の中で静かにしており、夜になると地表に出てエサをとって土の中に引っ張り込んで食べ、朝方になると穴の底の土を飲み込んで地表に積み上げます。

その糞の量は、1年間で10アール当たり、5〜10トンにもなると言われます。

さらに、ミミズが土の中を動き回ること自体、土に穴を開けて排水が良くなります。

微生物の環境にとっても、ミミズは役立ちます。

糞が微生物の住処となって、有害微生物が増えるのを防ぎます。

腐敗病やネコブ病が、 ミミズのいる土壌では抑えられる、との報告もあります。

ただし、ミミズが存在することによるデメリットもあります。

一番のデメリットは、ミミズの天敵のモグラがやってきて土に穴を開けることです。

また、養豚業者にとっては、ミミズは豚の寄生虫の中間宿主となるために嫌われるようです。

他に、水田では、穴を開けて水を溜めにくくしてしまいます。

畑でも苗が小さいうちにミミズが沢山いると、根の周りの土に穴があいて苗が倒れやすくなります。

ただし日本では、こんなになるほどミミズが沢山いる田畑はほとんどないのが現状です。

最後に、ミミズの増やし方について。

まず、最も重要なのは耕耘をしすぎないことです。

また、ミミズの食事となる有機物は、柔らかいものと硬いもの、腐植の進んだものと進んでいないもの、というように、多様な種類を提供してあげるのがよいようです。

望ましいのは、土の上に堆肥等の腐植の進んだ有機物をマルチし、さらにその上に枯れ葉等の未熟な有機物を敷きます。

ビニールマルチや農薬類は控えめにします。

以上、色々と述べてきましたが、実はミミズについては寿命や微生物との関わりあい等 、はっきりと分かっていないことが多いようです。 

身近な生き物なのに、意外です。

参考にした本

中村好男  ミミズと土と有機農業  創森社 



前にも参照したかもしれませんが、ミミズと農業との関わりを非常に丁寧に解説してあり、しかも読みやすいです。

C.ダーウィン(渋谷寿夫訳) ミミズと土壌の形成  たたら書房



進化論で有名なダーウィンの晩年の著書です。
ミミズ研究の古典的な名著とされています。

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