2013年7月9日火曜日

農地の規模

最近、街を歩いていたら、TPP反対の署名運動を見かけました。

一時期下火になっていたのが、まただんだんと盛り上がってきた気がします。

TPPといえば、真っ先に問題となるのは農業ですね。

日本の農業は、TPPにより壊滅的な打撃を受ける、その理由は外国に比べて競争力がないため、という論旨です。

そして、国の方針も対外的な競争力をつけるために、小規模零細営農から大規模農業を目指しています。

ですが、本当に大規模農業が望ましいのか?

これにについては、私は異論を持っています。



広大な農地で大規模経営すれば、確かにスケールメリットによる収入アップはあるかもしれません。

しかし、日本では大規模化を妨げる様々な困難があります。

山川が多く地形が入り組んでいるため、大規模機械が使用しづらいです。

傾斜地等で、機械を入れられないところもあります。

また、農地と宅地が複雑に入り交じっていることも問題です。

ヘリコプターで農薬散布とかされると、近所からクレームがくることがあります。

(我が家の隣の田んぼでも無人ヘリコプターで農薬が撒かれていて、奥様方が文句を言っていました)

さらに、気候が高温多湿のため病害虫が発生しやすいとか、風水害の問題もあります。

大規模専作ですと、経済作物が一気にやられてしまうリスクがあります。

身の丈以上の規模を追求すると、常に仕事に追われて作業がルーチン化し、農作業もオペレーター化します。

それでも手がまわらなくなり、そこでパートさんを雇う、さらにはもっと規模を拡大して農業法人を作る、組織化する・・・



農業で生活しようという人は、本当にこういった農業をしたいのでしょうか?

何のために農業を職業にするのか?と問いかけた先に、こういった会社経営のような農業で満足できるのでしょうか?



一方で小規模営農であれば、これらの問題はありません。

初期投資はわずかですみます。

細かいところに目が行き届くし、作業が丁寧にできます。

日本人の持っている特徴に合致していると思います。

病害虫や風水害に対してもきめ細かく対応できますし、例え一作をダメにしても二毛作、三毛作で回していけばリスクも分散されます。


ただ、やはり一番の問題は収益性ですね。

ですが、これもやり方次第と思います。

例えば、作る品目。

米や麦では小規模経営ではやはり難しいと思います。

果樹や果菜類などの販価の高いものをつくるべきでしょう。



また、売り方の工夫も必要です。

スーパーにある野菜はどれも同じような外観ですが、このような外観重視では十分よい品質の作物でも売れなくなってしまうため、ムダが生じます。

直売や観光農園等、消費者に直接訴えかける販売方法を視野に入れるべきでしょう。

農作物に、付加価値を付けることも重要です。

その作物に関する情報を載せるとか、目先の売ることだけにこだわらずに、お客様との交流を考えます。

以前にこのメルマガでも述べた、ベネフィットを意識します。




昨今のグローバル社会の波は高くて強いですが、これに限界を感じ、地域の自然や文化、個人を大切にする風潮も確実に高まっています。

小規模営農は、こういった新しい価値観にマッチした人間性のあふれる仕事と言えます。

これらの価値観をしっかりと持って、お客様に情報発信する。

そして、共通の価値観を持った者同士で関係性を築いていく。

こういった考えで、小さい農家でも十分太刀打ちできるのではないか、と思います。



参考にした本
蔦谷栄一 日本農業のグランドデザイン 農文協

杉山経昌 農!黄金のスモールビジネス 築地書館

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