先日ジャガイモを収穫しました。
ジャガイモの塊根(イモの部分)は種芋よりも上に出来ます。
が、根は下に伸びで、その根の先に塊根ができます。
何となく不思議な気がしませんか?
そもそも、なぜ茎は上に、根は下に伸びるのでしょうか?
調べてみると、実はこんな単純なこともよくわかっていないようです。
私たちは、植物を様々に利用して生活していますが、その割に分からないことはいくらでもあるようですね。
ということで、今回はなぜ根は下に伸びるか?ということについて。
この現象は、重力屈性と呼ばれています。
重力屈性の中で、茎は重力に逆らって伸びるので負の重力屈性、根は重力の向きに伸びるので正の重力屈性、と言います。
根の重力屈性についての、一応それらしいと考えられているメカニズムを書くと、以下のようになります。
根の先端には根冠という部分があり、ここの細胞が分裂、成長して根が伸びます。
この根冠部分には、アミロプラストという、デンプン質の重たい物質があります。
そして、このアミロプラストは細胞内を重力の方向に沈降して行きます。
ここで、もしも根が横に向いていたとしましょう。
そうすると、アミロプラストは、細胞の下の部分に溜まって上にはなくなります。
これがきっかけとなって、カルシウムイオンが根の上の方に移動します。
カルシウムイオンは、植物の生理的な情報を伝達する働きがあり、これを契機として植物ホルモンの量が上下で変わります。
関連する植物ホルモンとしては、アブシジン酸とかオーキシンとされており、生長を抑制する働きがあります。
これらの濃度が上下で異なることにより、下側の成長が抑制され、上側に比べて遅くなります。
その結果、根が下に曲がっていきます。
分かったような、分からないような説明ですね。
ともかく、カルシウムイオンが植物の健全な情報伝達には重要だ、ということですね。
カルシウムの補給には気をつけましょう。
ちなみに、重力以外にも光や水分、温度など、様々な要因で根の伸長方向は変わります。
これを確かめる実験として、人工衛星の中で(無重力状態で)植物を育てたりしています。
ここまでやるか!と感心してしまいます。
また、上記のような屈性と関連しますが、根はらせん状に成長する、回旋運動も知られています。
根冠の細胞分裂や伸長が根の左右で異なることにより、このような回旋運動が起こるとされています。
抵抗の大きい土の中で、根が伸長するのに役立っていると考えられています。
イネなどでも観察されていて、苗立ち率との関連が認められているようです。
どのようにしたらこういった重力屈性や回旋運動が制御でき、園芸に応用できるか、今後の研究の進展に期待したいです。
以上、今回は興味のおもむくまま、調べてみました。
参考にした本
根の発育学 森田茂紀 東京大学出版会
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