農業を行う上での最大の問題は、農産物が安い、ということではないでしょうか?
食料品は生活必需品の最たるものなので、どうしても供給過剰にならざるを得ません(でないと餓死してしまいます)。
値崩れするのは、資本主義経済では当然の成り行きと思われます。
とは言っても、一農家が社会の仕組みを変えられる訳でもないので、現状の仕組みの中で如何に販価を高く設定できるかが農家として成功できるかどうかの一番の鍵のように思われます。
販価を高めるためになすべきこととして、まずはお客様をその特徴に応じて細分化(セグメンテーション)しましょう。
ちょっといやらしいと思われるかもしれませんが、お客様の購買能力をピラミッド構造に見立てて4種類に分類します。
そのピラミッドの頂点に立つのがスキミング層と呼ばれる富裕層です。
この層は、自分の価値観を大切にし、それに合致した商品であれば値段を無視して購入してくれます。
これに引き続くのがイノベーター層と呼ばれる層。
スキミング層と似た人々ですが、違いとしてはスキミング層に対する対抗心やあこがれを持っていることです。
スキミング層を常に意識していて、彼らの購買行動を見て自らも購入する、という傾向があります。
その次はフォロア層で、平たく言えば中間層です。
この辺りになると、価格面でもシビアになってきます。
上位の層とともに下位の層も意識します。
一番下はペネトレーション層で、価格を最重視する層です。
人数は一番多いですが、低価格重視のため、全体に占める購買総額は人数ほど多くありません。
このように層別に分けた場合、生産者側がターゲットとすべきは、スキミング層、ということになります。
ここを取り込めれば、その下のイノベーター層やフォロア層まで入り込めます。
余程の資本力がない限り、ペネトレーション層をターゲットとするのは困難なようです。
ではどうやってスキミング層を取り込むか、についてですが、やはりブランド戦略と情報発信が必要となります。
この辺りにつきましては以前にも述べましたが、機会を見てまた述べたいと思います。
以上は、消費者の分類からの戦略ですが、そうはいっても競争相手の生産者が値下げをしたら、こちらも追随して値下げせざるを得ないのではないか、とも思えます。
これについては、面白いシミュレーションがあります。
スーパー等では、一日ごとに、その日の状況(曜日や天候、近所の行事等)に応じて商品の価格を細かく変えています。
その結果を解析し、それをもとに販売動向をコンピューターでシミュレーションすることも行われています。
例えば、あるスーパーである商品を、二人の生産者AさんとBさんが出荷しているとします。
両者はお互いに相手の商品の値段を横目でにらみながら自分の商品の値段を付けています。
その中で、ある日、Bさんが思い切って値下げを仕掛けてきました。
そのとき、Aさんはどのくらいの価格にするともっとも売上があがるか、シミュレーションしてみると・・・
平均的な値段、つまりBさんの値段よりかなり割高にして売るのがもっとも良いという結果になったそうです。
もちろん、このシミュレーション結果が、全ての状況で成り立つ訳ではなく、場合、場合に応じて結果は変わるとは思います。
が、いずれにせよ、相手に合わせて値下げするだけが能ではない、ということを物語っています。
データ収集とその解析による販売価格の適正化の重要さが分かりますね。
参考にした本
冨田きよむ 農家のマーケティング入門 農文協
豊田秀樹 購買心理を読み解く統計学 東京図書
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