2013年6月11日火曜日

農薬の安全性

 一ヶ月ほど前は、寒いなあ、と思っていたのに、急に暖かくなって、真夏日が続きます。

 と思っていたら、また寒くなりました。

 温度変化が激しすぎますね。

 畑仕事しているときも、蚊に刺されはじめました。

 そろそろ、蚊取り線香の準備をしなければ。

 農作物に対しても、しっかりと病害虫の防除が必要な季節です。

 有効なのは、やはり農薬。

 そこで、今回は農薬について、改めて述べてみたいと思います。



 一言で農薬といっても、色んな種類があります。

 目的別に分類すると、殺菌、殺虫、小動物駆除、除草、侵入忌避剤・・・

 植物の生育を促進するものも、肥料以外は法律上は農薬として分類されます。

 ついでに言うと、除草のために田んぼにアイガモを放つ「アイガモ農法」でも、アイガモは農薬とみなされます。

 そんなことを言っていたら、人間も植物の生育促進や有害生物駆除のために、色んな世話をしているので、農薬になってしまいますね。
(私の場合は、せっかくの作物を枯らしてしまうことも多いので、害獣かもしれませんが)

 いずれにせよ、ちょっと広すぎます。

 そこでここでは、化学薬品の殺虫剤、殺菌剤に限って話を進めます。

 こういった化学農薬というと、どうしても危険なもの、とのイメージがあります。

 しかし、用法を守って使えば、普通の人は大丈夫です。

 このあたりの安全性について、今回特に調べてみました。



 まずは、農薬と医薬品との類似点について。

 化学物質としてみた場合、農薬も医薬品も同じようなものです。

 医薬品は人間の病気を治すものですが、言い方を変えると、体の中の悪い生物を殺すものとも言えます。

 土に蒔くか、体内に入れるかの違い。

 実際に、農薬にも医薬品にも使われる薬剤があります。

 ワルファリンという薬剤がそれで、農薬では殺鼠剤、医薬では血栓を予防する薬としても使われます。

 ちなみに、医薬品としては一日3〜5ミリグラムくらい摂取するのに対し、農薬として使った場合の野菜などへの残留基準は0.001ppm以下です。

 これらの野菜を、1日1kg食べたとすると0,001ミリグラムに相当します。

 医薬品の方が何千倍も多い!

 「安全基準の数千倍の鼠駆除剤を飲んだ」といったら新聞記事に出そうな気もしますね。



 そもそも、どんなものでも、人体に取っては毒物的要素を持っています。

 ご飯は、食べ過ぎると糖尿病の危険がありますし、水でも、飲み過ぎれば腹を壊します。

 医薬品も、大量に摂取すると、人体への作用が強すぎて健康を害します。

 農薬でも同じことです。



 次に、天然の植物の成分と農薬との関係について考えてみましょう。

 植物は、動けない代わりに体から色々な物質を出し、病害虫から身を守っています。

 これを、天然防御物質と言われます。

 有名なところでは、唐辛子に含まれるカプサイシンやダイコンをおろしたときにできるイソシチオシアネートなどがあります。

 これらは、人間にとっても有害です。

 前述の医薬品と同じで、通常は少量を摂取するだけなので、薬用効果が期待できるのです。

 このような有毒な天然防御物質は、人間が一日で食べる食物の中におよそ1.5g含まれると言われています。

 これは化学農薬の残留量の、一万倍以上含まれるとされています。

 ついでに言うと、植物は害虫等により食害を受けると、天然防御物質を大量に生成します。

 先のダイコンの例で言うと、ダイコン本来の味は甘くてイソシチオシアネートはあまり含まれていませんが、昆虫が食害したり、人間がすりおろしたりすると、中身が酸素に触れ、中の酵素が働いて多量に生成します。

 つまり、農薬を使わずに虫食いだらけの野菜と、農薬を使って虫食いのない野菜では、農薬のない野菜の方が毒物が少なくなる、ということにもなります。

 このことからも、農薬を必要以上に怖がる必要はないようです。



 では通常の人ならまだしも、例えば化学物質過敏症の方はどうか?とか疑問も生じますね。

 で、調べてみると、実は化学物質過敏症は、本当に化学物質が直接関与しているかどうかまだ結論が出ていないそうです。

 むしろ化学物質過敏症という症状は、心因性であったり、ダニのせい、とする説の方が優性とのことです。



 以上、消費者の立場から農薬の安全性について述べてきましたが、農家の立場では多量に使うので正しい使い方をしなければならないのは当然ですね。

 薬を撒くなら長袖長ズボンで帽子をかぶり、マスクや保護眼鏡、保護手袋を着装します。

 風の強い日の使用を避けます。

 そして、農薬の容器に書かれた使用法を良く守って使いましょう。


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