土の話をずっと続けていますが、今回もしつこく続けます。
今回は、土の良否を判定する方法についてです。
これまで何度か述べてきたように、土は物理性、化学性、生物性を好ましい状態に維持することが重要です。
このうちの、物理性の中でも最も要な性質の一つに、三相分布があります。
三相とは、固体(土そのもの)、気体(空気)、液体(水)の3つで、これらが適正な割合で含まれていること、そしてそのためには団粒構造を持つことが望ましいとされています。
ここで団粒構造の土とは、土の微粒子が集合して固まりを作っているものを言います。
団粒構造の場合、土の間の隙間の大きさは大きく二種類に分かれます。
一つは、集合した微粒子の隙間で、もう一つは集合した固まりと固まりの間の隙間です。
集合した粒子の隙間は小さく、水が入ると毛細管の凝集効果で脱水しにくくなり、保水性を持ちます。
一方で、固まりと固まりの隙間は大きいので、水の凝集力が働きにくく、容易に流れていきます。
従って、これらにより固体、気体、液体の三相が適度に含まれる土壌が得られます。
では、こうした比率を数値で評価するには?というと、これは専門の装置がなくても比較的容易に量ることが出来ます。
まず、空き缶の上と下を切って円筒を作ります。
その後、この缶の直径や高さを測るとか、何らかの方法で缶に詰められる内容物の容積を求めておき、かつ重さも測っておきます。
その後、測りたい土を中に詰めます。
このときの土は、雨やかん水直後のものでは空気層まで水で詰まっているので好ましくなく、降雨後何日かして水が抜けたものを用います。
また、採取する時には、移植ゴテ等で掘ってしまうと、土の構造がこわされてしまうので好ましくありません。
缶を土の上に起き、上から木の切れ端などでまっすぐ沈めるようにして土の中に埋め込めば、土をあまり動かさずに採取できます。
採取した土入りの缶は、まず重さを測り、空のときの重さとの差を計算します。
これが土の重さとなります。
さらに、これを乾燥させます。
時間をかけてもいい場合は、屋外で一週間くらい干すか、時間がない場合は中の土だけとって、フライパン等で(土の有機物が分解しないように)弱火で乾燥します。
そして、乾燥後の重量を測ります。
乾燥後の重量を、缶の容積で割ったものが見掛け比重となります。
見掛け比重とは、土そのものの比重(真比重)に対して、土の間の隙間分だけ見掛け上軽くなっているので、こう呼びます。
仮比重とか、生比重等とも言います。
土そのものの比重は、場所ごとに異なりますが、だいたい
2.4〜3.0で普通は2.65という値を用います。
これに対して、例えば見掛け比重が2.0だったとすれば、これと真比重との比
2.0/2.65=0.75
で、75%が固体の比率ということになります。
次に液体の場合は、乾燥前後の重量差から出します。
水は比重がだいたい1ですので、重量差がそのまま液体の容積となり、それを全体の容積で割れば水の比率となります。
最後に、100%から、固体の比率と液体の比率を引いたものが気体の比率ということになります。
望ましいのは、固体、液体、気体の比率が40、30、30%くらいです。
このようになっていれば、植物は酸素、水分の供給を十分受けることができ、健全な生育に一歩近づけることができます。
ちなみに、私が使っている畑はもともと田んぼで、気体の比率が低くなっています。
このような場合には、堆肥を多量に投入することが有効となります。
逆に液体の比率が低すぎる例としては、例えば砂土が挙げられます。
このような場合にはピートモスとか、細かい土を入れることが有効となります。
参考にした本
武田健 新しい土壌診断と施肥設計 農文協
塚本明美、岩田進午 だれでもできるやさしい土のしらべかた 合同出版
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