2010年6月19日土曜日

葉面微生物と根圏微生物

今回は、微生物が繁殖する場所について調べてみました。

これは、一言で言うと葉の表面と根の近くです。

葉の表面は葉面と呼び、根の近くを根圏と呼びます。

葉面や根圏では、植物が分泌物を出したり、表面の皮が剥がれたりしていて有機物が豊富にあり、これが微生物のエサとなるため、微生物が多く集まります。

動物でも汗をかいたり糞尿をして、これが微生物のエサとなりますが、それと同じことと思います。

微生物の中には有用な菌、有害な菌、どちらでもない菌といますが、当然のことながら有用な菌で覆われていた方が植物にとっては有用です。

従って、前回述べたようなEM菌や、えひめAIなどを散布するとすると、有効に働かせるためには葉面や根元近くに撒くのがよい、ということになります。

ついでにいうと、動物も植物も色々な有機物を体外に出す、ということであれば微生物もそうなのでは?という話になりますが、やはりそのとおり、微生物も分泌物を出します。

有用微生物の場合、分泌物の中にはアミノ酸や核酸も含まれることがありますが、これらは根に取り入れられて、植物の生長を促進させる働きがあります。

主に生殖成長(例えば花芽や着果、果実の生長)を促進させるようです。

また、EM菌やえひめAI等の微生物資材を直接散布する以外にも、微生物のエサを散布することにより微生物を増やすことができます。

米ぬかの葉面散布や、土壌への堆肥施用がこれにあたります。

このような微生物のエサをまくと、有害菌も増えて植物に悪い影響も現れるのでは?と思われますが、結果的には病気は減るようです。

米ぬかの葉面散布を例にとると、もともと、微生物全体の中で有害菌の比率は少ないため、米ぬかのエサが供給されても有害菌が他の菌を圧倒して増えることはありません。

逆に、有用菌が抗菌物質を出すことにより、有害菌の繁殖が押さえ込まれます。

また、葉の表面にはクチクラ層と呼ばれるロウを主成分とする保護膜ができていますが、菌が増えることにより植物が刺激され、この保護膜を厚くさせて有害菌が侵入することを防いだりもします。

土壌への堆肥施用も同様の機構で、有害菌が増えすぎるのが防がれます。

さらに、土壌中で微生物が増えることにより、これをエサとする微生物や小動物が増え、かれらの活動や分泌物により団粒構造ができてきます。

その結果、植物が健康に育ち、有害菌が増えないことから連作障害なども出にくくなるようです。

この逆に、殺菌剤を使用して菌を減らすとどうなるか、というと、殺菌剤をまいた直後は、たしかに微生物は一旦は死滅して数が減りますが、葉面や根圏は上述のように栄養に富んだ場所なのでいずれ再び微生物が繁殖しだします。

その時にたまたま有害菌が発生したりすると、拮抗する微生物がいないために爆発的に増えて、結果的に植物が不健康になる、ということもあるそうです。

皮肉なものです。

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