2010年3月11日木曜日

不耕起栽培土壌の物理性

前に団粒構造について述べました(→団粒構造について)が、少し書き足りない気がしたので、今回もこの話です。

今回は不耕起栽培での物理性に着眼して、前回の補足と、更に掘り下げて理解したい、との狙いです。

そして、ここでは不耕起栽培の特徴を浮かび上がらせるために、逆に耕しすぎたときの弊害を述べるところから始めたいと思います。

まず最初に、土を耕す主な目的としては、土を柔らかくすることにより植物の根を張りやすくさせること、除草、肥料を土となじませること、等があります。

しかし、実際に土が柔らかくなるかというと、必ずしもそうなりません。

その理由の一つは、前回も述べましたが、水により固まってしまうことで、もう一つは、耕盤ができることです。

これらについて順に述べていきます。

通常、土は砂のようにばらばらになっておらず、ある程度の大きさに固まった状態で存在しています。

これは、小さな土の粒子同士が何らかの接着力により接着されているためです。

この接着力としては、微生物の分泌物質や菌糸、植物根などの有機物群と、土を構成する粒子自体の凝集力があります。

有機物分は、耕すことにより分解されやすくなり、接着力を失いますので、残った凝集力が土を固まらせる主な力となります。

凝集力は粒子同士がほぼ接触した地点に働きます。

土を耕した(すなわち微細粒子をほぐした)段階では接触点も少なく、強く接着されていません。

すなわち、ふかふかしています。

ところが、雨やかん水等で水が入り込むと、この均衡が崩れます。

水が叩き付けられることによる衝撃力や水の表面張力などで土の粒子が再配列を起こします。

粗大な粒子の隙間には微細な粒子が入り込み、水に溶けた土の成分は乾くときに再び固体として析出し、粒子の隙間を埋めます。

結果として土が却って固く締まって膜のようになります。

これを土膜(クラスト)といいます。

ふかふかで排水を良くする目的が逆にカチカチで排水を悪くすることになってしまいます。

このようなことにならないためには、あまり耕しすぎないことと、土の水分が適量あるときに耕すことが必要です。



耕しすぎることのもう一つの弊害は耕盤ができることです。

耕盤とは、表面の作土の下にできた固い盤状の土のかたまりのことです。

この耕盤は、田んぼでは溜めた水が下に抜けないために必要です。

そのため、わざと土を踏み固めて作ったりします。

ですが、畑では耕盤は好ましくありません。

雨が降ったときに耕盤のせいで水が抜けにくくなって、過湿状態になってしまったり、植物が深くまで根をはるの妨げになったりします。

このようなことを防ぐためには、サブソイラーという機械で耕盤を割ったりしますが、こういうことを耳にすると、そもそも何のために耕したりするのだろう、と思ったりもします。

不耕起栽培では、このような弊害がなくなります。

耕さないために土自体は堅いですが、ミミズの通り道、植物根などの穴が空いており、水はそこから抜けます。

また、耕さないため微生物やミミズが多く、その結果有機分が増えます。

前回、ミミズの糞が団粒構造をつくると書きましたが、この理由としてミミズの糞や微生物の出す物質は撥水性であることが挙げられます。

雨が降っても水をはじくために団粒が壊れず保持されます。

また、ミミズの通り道や植物根がゆっくりと土の仲間で侵入してくるため、耕盤ができていてもなくなっていくという利点もあります。

以上より、団粒構造という面からは不耕起栽培にメリットは大きそうです。

ただし、土自体は堅く植物の根は張りにくいので、植物の初期の生育については気をつけてやる必要があります。

(参考にした資料は前回と同じ)

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