2013年11月26日火曜日

土壌生物(昆虫以外)

 
以前、山のふもとに住んでいたことがあります。

子供が生まれたばかりのころです。

夜、12時ごろだったでしょうか?

家族全員静かに眠っていました。



その時、私はうなされていました。

自分が、脳腫瘍になった夢を見ていたのです。

痛い、痛いと夢の中で頭を抱えていました。

そうしているうちに、突然妻が「ひゃっ!」と声を上げました。

そして、電気をつけて何か言いながらバタバタしています。

ただならぬ妻の態度に、私もようやく目覚めました。

そして、目覚めても頭がすごく痛いことに気づきました。



何と、寝ている間にムカデに頭を刺されていたのです。

妻は、まどろみながら生まれたばかりの子どもの様子を見ていると、ムカデが出てきてビックリして起きだした、という訳です。



その後、妻は子どもを抱え、私は布団をひっくり返してムカデを見つけ出し、叩き殺して外に捨てました。

ムカデは、相当しぶとい生き物のようで、何度叩いてもなかなか死ななかったのが印象に残っています。

幸い、子どもが咬まれることもなく、その時はこれで終わったかに思われました。

が、数年経って、徐々に私の体に重大な後遺症が現れてきました。



頭が禿げてきたのです(←後遺症ではない?)

そして今では、我が身を身を呈して守った子どもに、頭の薄さをはやし立てられる身となったのです。



という訳で、今回はムカデを含む土壌生物の話についてです。



土壌の生き物といえば、農業関係の話でよく話題になるのは微生物の話が多いですね。

あとは、害虫として、昆虫の幼虫なども。

ですが、これらはずっと前にも書いたことがあるので、今回は微生物と昆虫以外の生き物について概観してみたいと思います。

といっても、こういった括りでは当然ながら大変広く、いろんな種類がいます。

ざっと思いつくものを挙げていくと、ミミズ、ナメクジ、センチュウ、ダンゴムシ、ダニ、ムカデ、ヤスデ、ゲジゲジ・・・

が、全体的な特徴としては、小さい生き物が多いです。

これは、土の中にもぐる生活様式のためです。

大きな動物、たとえばゾウやクジラが土の中に潜ろうと思うと大変です。

たとえもぐったとしても、息もできません。

小さいと、もぐるのも呼吸をするのも、土の隙間のわずかな空間で事足ります。

あと、同じく土の中へもぐりやすいという理由で足が短くなったり体が細長くなったりしていることが多いです。

それに、体の表面がやわらかく湿っぽいのが多いです。

これは、土の中では適度に湿気が高い状態で保たれているためです。

地上にいる生き物は、大気中表面から水分が抜けていくのを防ぐため、表皮が乾いていたり毛むくじゃらだったりしますが、土の中の生き物はそんな必要がありません。

このような形とか手触りとかで、土壌生物は気持ちが悪いと思う人も多いかもしれませんね。

ミミズなど、有用な生き物であれば温かく見守ってあげようという気にもなりますが、それ以外はちょっと・・・という気にも。

実際、上に挙げた色んな生き物の名前を見ただけで、嫌な印象を持つ生き物ばかり、という感じもします。

しかし、実態は必ずしも害を及ぼすものばかりではありません。

一般に害を及ぼすと思われるようなものの中でも、そうです。

例えばダニは、私たちの血を吸う害虫と思いがちですが、実際に血を吸うのは全体の1割くらいで、残りの9割は無害だそうです。

あるいは、センチュウも、人間に寄生したり農作物の病気の原因となったり、すると思いがちですが、実際にはそうではないものもたくさんいます。



さらに、無害というだけでなく、実は回り回って我々の役に立っていることも多いものです。

センチュウやヤスデなどは、微生物だけではなかなか分解しきれない落ち葉などを食べてくれます。

そして、それを糞として排出して、微生物や植物に吸収されやすくしてくれます。

よく、植物を生産者、微生物を分解者、動物を消費者、などと表現しますが、土壌生物は微生物とともに分解者としての働きも持っているのです。

こうした分解者としての働き以外にも、土の中を這い回るため、排水性を良くする働きもあります。

ミミズ等は土を食べて地表に糞を運ぶので、耕耘機の機能ももっていますね。

さらにはムカデやクモなど、他の生き物を捕食するので、害虫を抑制する効果もあります。



こんな風に考えて行くと、一見我々に害をもたらしたり、無縁のような生き物に見えても、実は巡り巡って他の生き物たちの役に立っているのかもしれませんね。

とすると、人間は他の生き物にどんな風に役に立っているのだろう?

あるいは、自分は他の人間の中でどんな風に役に立っているのだろう?

とか、いろいろ考え込んでしまいます。

参考にした本

金子信博 土壌生態学入門 東海大学出版会

日本土壌動物学会編  土壌動物学への招待  東海大学出版会



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