前回は、土作りとして土壌に投入した有機物の働きについて述べました。
今回はこれに関連して、土壌の浸食についてです。
土壌浸食については、実はちょっとした悩みがあります。
私の使用している圃場の横は、5m幅くらいの空き地となっており、さらにその横に用水路が流れています。
この空き地は元々田んぼでしたが、今は使われていません。
それで私が農作業をするときに、ネコグルマを置いたり灌水する時に使わせてもらっています。
ところが、この空き地は水による侵食が激しく、所々大きな穴が空いています。
灌水等で歩く時に危ないし、浸食が進んでその空き地自体消滅しそうなので、なんとかしたいと思っているのです。
そういうわけで今回調べてみました。
まず、土壌浸食は、大きく水食と風食に分けられます。
水食は、上記の私の例のようなものです。
主に雨で土壌の粒子が泥水状になり、水が地下に抜けなくなって斜面を流れていき、その時に一緒に土も持っていきます。
雨で浸食されるのを雨食、雪では雪食、他に河食、氷食などもあります。
風食は、有名なのは1930年ごろに米国で発生したものがあります。
当時、米国では広大な農地を大型トラクターでさかんに耕起していました。
しかし、耕すことにより、土壌の有機物が分解されて土が痩せていきました。
そして、1930年代に激しい砂嵐が米国中西部を襲い、その土地が風食で深刻なダメージを受けました。
これがきっかけで土壌侵食の研究が進んだそうです。
それで、土壌浸食は経験的に以下のような式でモデル化されているようです。
侵食量
=(降雨係数)×(土壌係数)×(傾斜係数)
×(斜面長係数)×(作物係数)×(保全係数)
これを一言で言えば、豪雨地域の痩せた裸地の傾斜面では土がたくさん流される、ということになります。
もう少し細かく言うと、まず降雨係数は、単純に雨が多いというだけではありません。
土砂降りとかの降雨の激しさも考慮する必要があります。
土壌係数は土壌の透水性とか、泥水になりやすさとかの指標です。
有機物が多く団粒構造の土では、土壌係数が低く、浸食されにくくなります。
傾斜係数と斜面長係数は、斜面だと水が流れて浸食しやすくなる、ということを表しています。
作物係数は、裸地であれば浸食されやすく、作物が植えてあれば浸食されにくくなる、という事を表す指標です。
植物がいると、雨の時も水が地面に直接当たるのを防いだり、根が土を保持してくれるためです。
保全係数というのは、例えば傾斜地で野菜栽培をする場合、等高線に沿って栽培したり、畝立ての方向を、傾斜と直角方向にたてると、水の流れがせき止められて、浸食されにくくなります。
以上をまとめると、畑でできる 対策としては敷き藁をしたり、むやみに耕耘して草を取らないことが挙げられます。
また、有機物を投入して団粒構造の土作りをすることも有効です。
斜面であれば、等高線に沿った栽培を心がけましょう。
あと、ここまで本格的にやるのは大変ですが、防災林をつくったり、砂地などで風で飛びやすい土壌の人は粘土を客土して風食を防ぐことも考えられます。
以上、作土は大切です。
一度減らしてしまうと、元に戻すのは大変です。
これから冬になって何も植えていないところもできるかもしれませんが、その際も土作りに励み、浸食を防いでいきましょう。
参考にした本(前回と同じ)
岩田進午 土は生命の源 創森社
佐久間敏雄 梅田安治 土の自然史 北海道大学図書刊行会
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