やや多量に必要な肥料成分(その1)からの続きです。
カルシウム、マグネシウムもかなり多量に必要とされる成分です。
カルシウムは、石灰とも言います。
細胞分裂を盛んにして生育を正常に進める機能があります。
特に、細胞壁や細胞膜を丈夫にします。
そして、病害虫に対する抵抗力をつけます。
病害虫の予防や、病気にかかった時に全体に広がるのを防ぐために、カルシウム肥料をまくことがよく行われます。
マグネシウムは苦土とも言われます。
葉緑体の構成成分の一つであるとともに、植物体内の新陳代謝を活発にさせます。
リン酸を移動させやすくしたり、植物体内にできた活性酸素を除去する働きがあります。
ちなみに、活性酸素というのは酸素が、より反応しやすい形に変化したもので、細胞に損傷を与えるとされています。
この活性酸素は、光合成を行うと必然的にできてしまうためこれを除去するためのマグネシウムの役割は大きくなります。
これら、カルシウム、マグネシウムはアルカリ土類金属という仲間に属し、比較的似たような性質を持っています。
たとえば、いずれも酸性の水に溶けやすいことが挙げられます。
通常はカルシウムやマグネシウムは、固形分として水に溶けにくい形で存在している場合が多いですが、雨が降ると溶けてしまいます。
雨水は、空気中の二酸化炭素を吸収して炭酸となり、酸性になるためです。
日本は雨が多いため、土壌中のマグネシウム、カルシウム分が水に溶けて流れていくため、不足しがちになります。
従って、肥料として補ってやらねばなりません。
もっとも植物にとっても、これらは水溶液として吸収するので、水に溶けることが必要でもあります。
従って、逆に長い間雨が降らなかったりすると、これらの吸収ができなくなり、障害が生じる場合があります。
また、これらカルシウム、マグネシウムにカリウムを加えた三成分は、互いに拮抗関係にあると言われています。
すなわち、これら三成分の土壌中での濃度バランスが悪いと、特定の元素ばかり沢山吸収して、他の元素が吸収できなくなり、欠乏症が生じる、とされています。
ただし、それではどういった比率がよいか、という話になると必ずしも、決定的な指針は示されていないようです。
また、これら三成分以外に窒素やリンとの比率が重要だ、とか、カリウムが過剰だからと言ってマグネシウムの欠乏症は生じない、とか、色んな話があってなかなか複雑です。
対象とする植物の種類も多ければ、必要成分の数も多く、さらに個々の成分がそれぞれさまざまな働きを持つため、単純に割り切れないようですね。
参考にした本
渡辺和彦 ミネラルの働きと作物の健康 農文協
本の装丁を見ると、一見簡単そうに思えますが、実際に中を読むとなかなか難しく、理解しがたいところもありました。
秋の夜長に、まくら代わりに、もとい、頭の体操に熟読してみたい本です。
渡辺和彦 園芸作物の栄養診断の手引き 誠文堂新光社
上記の本と同じ著者ですが、こちらは初心者向けで随分分かりやすくなっています。
写真も満載で、自分が育てている野菜と比べてみて、生育具合を確かめることが出来るようになっています。
武田健 養分バランス施肥 農文協
・・・こちらの本もかなり難しいというか、ややこしいです。
肥料を投入量を決めるために、緻密な計算を行っており、うまくいったらさぞかしうれしいだろうな、と想像されます。
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