これまでで、有名どころの農業資材は何らかの形で紹介してきたつもりですが、改めに見直すと結構抜けがあるのに気付きました。
そのうちの最も重要な資材のうちの一つが木酢液です。
そこで、今回これについて取り上げることとしました。
まず、木酢液とは木を燃やしたときに生成する液を抽出したものです。
作り方としては、窯で木を燃やして煙突から出た煙を、パイプか何かで捕集します。
そして自然に、または積極的に冷却させて生成した液を容器にためます。
これを静置しておくと液が3層に分かれます。
上下の層がタール分、中央が粗木酢液です。
この粗木酢液はまだタール分が多く含まれているので、これを蒸留して実用的な木酢液とします。
木酢液の原料となる木には様々なものが用いられますが、竹を用いたものを、特に竹酢液と呼びます。
木酢液の成分は、80~90%が水、残りは酢やアルコール、アルデヒド、フェノールといった物質からなります。
含まれている成分は、200種類ともいわれています。
このうち、もっとも多いのはその名のとおり酢で、全体の
3%くらいを占めます。
ただし、原料の樹種や焼き方などによって成分の濃度はかなり大きく変動します。
ちなみに、竹酢液は50種類程度の成分が知られており、木酢液よりもフェノール分が多く、タール分が少なめです。
いずれにせよ、このように多数の成分が存在するため、具体的にどの成分がどういう働きをする、と特定しずらい面があり、また、効能の表れ方も複雑です。
典型的で、かつ最もよく使われる例としては、微生物に対する働きかけが挙げられます。
「働きかけ」と回りくどい書き方をしたのは、微生物を増やす場合にも、減らす場合にも用いられるからです。
木酢液を散布すると、短期的には殺菌効果がありますが、一旦殺菌した後は、菌を逆に増殖させる働きがあります。
従って、例えば堆肥やボカシ肥を作る時には、木酢液を散布してから材料を混合するすると、発酵が進むとされています。
こうすると、副次的な効果として、発生したアンモニアを中和して臭気を少なくする効果もあります。
殺菌を目的に使用する時には、木酢液そのものの殺菌効果がさほど強くないので、別のものと併用して使われることが多いです。
例えば、農薬を散布する際に木酢液を混ぜることにより、農薬の消費量を減らすことができるようです。
また、有機農業等で化学農薬を使わない場合は、ニンニクやトウガラシ、魚の内蔵等、殺菌効果のある物質を漬け込んで、そのエキスを抽出して使用することがよく行われます。
このように、殺菌による病気の予防のために木酢液はよく用いられていますが、農薬取締法では特定農薬の指定からは外されています。
この理由としては、
1)効果がない(ことが多い)
2)成分が一定でなく、製法により大きく異なる
3)有害成分が含まれる
といったところが挙げられたようです。
2)や3)はまだしも、1)については従来使ってきた目的を真っ向から否定する結果です。
こういう客観的な実験においても、正反対の結果が出てくるのは面白いですね。
不思議な気もしますが、色んな分野でこのようなことは結構よくあるように思えます。
農業分野では、気候や土壌条件がその場所によって様々に変わるので、特にこのようなことが多いのではないか、と思います。
偉い人のいうことだから、とか、国がきちんとした実験をしているから、と鵜呑みをせずに、あえて反対のことも行ってみる、というチャレンジ精神も必要かもしれませんね。
(次回に続く)
参考にした本
増田幹夫監修 はじめての人でもかんたん木酢・木酢液の利用法 ブティック社
・・・農業利用に限らず、様々な木酢液の使い方が書かれています。
分かりやすいです。
岸本定吉監修 炭・木酢液の利用辞典 創森社
・・・実際に木酢液を使用している人が記事を書いており、説得力があります。
日本竹炭竹酢液生産者協議会編 竹炭・竹酢液つくり方生かし方 創森社
・・・竹酢液の採取の仕方も、詳しく述べられており、作ってみたい気持ちになります。
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