前回に引き続き、アーバスキュラー菌根菌についてです。
(前回・・・アーバスキュラー菌根菌、その1)
今回は、この菌の利用方法について述べたいと思います。
昔は、たいていの農地では、アーバスキュラー菌根菌が土着していたそうですが、最近の肥料や農薬を多投した圃場では、ほとんどいなくなっていることもあるようです。
この場合には、菌を利用するためには、市販されているものを購入して接種しなければなりません。
一般に、市販しているものは、リンの吸収能力の高いものを選別、培養していますので、接種によりかなりの効果が期待できるものと思われます。
ただし値段が高いので、苗の段階で接種してから定植することになります。
逆に、既に菌が土着しているときに、市販のものを接種したとしても、土着菌と市販菌の競合が起こりますので、必ずしも接種の効果は得られません。
さて、このようにして菌根菌を接種したとしても、圃場の状態が悪いとうまく効いてくれません。
菌根菌も根粒菌と同様、土に肥料成分が多いと菌が少なくなり菌根形成しにくくなります。
従って、特にリン肥料は控えめにする必要があります。
また、通気性、排水性もよくした方が菌の活動が活発になります。
さらに積極的に増やすためには、炭を散布することが有効です。
炭は熱せられているため、既存の菌がいない上、微細な穴が空いています。
その上、有機分が焼かれてしまっているために、別の微生物のエサがなく、菌根菌との競合が起こりません。
こういった理由で、菌根菌の住処となりやすいためと考えられています。
この他の条件については、
1.殺菌剤・・・菌根菌は殺菌剤に極めて弱いため、できるだけ使わない方がよいです。
2.殺虫剤・・・殺虫剤の種類にもよるようですが、一般に使用により菌が死滅しやすくなります。
3.除草剤・・・極めて弱いようです。除草剤そのものというよりも、雑草がなくなって共生できる根がなくなるためのようです。
最後に、アブラナ科野菜やアカザ科野菜には感染しないことを前回書きましたが、あえて利用したい場合は、マメ科やイネ科の植物と混植と菌根菌の働きでリン吸収がよくなるようです。
参考にした本・・・前回と同じ
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