2010年5月21日金曜日

アーバスキュラー菌根菌、その1

前のべた根粒菌に続き、今回はアーバスキュラー菌根菌について調べてみました。

アーバスキュラーとは樹枝状のものという意味で、菌根菌とは、菌が根に侵入して共生生活をする菌という意味です。

以前はVA菌根菌とも呼ばれていました。

根粒菌とアーバスキュラー菌根菌は、ともに植物に養分を供給する菌です。

根粒菌は主にチッソを、アーバスキュラー菌根菌は、主にリンを供給します。

代わりに、植物が光合成によって作った有機物を受け取ることにより、共生関係を持っています。

菌根菌は、共生している根から菌糸が数cmにも伸びるので、あたかも根が広く張ったのと同じように、広い範囲から養分を得られるようになります。

また、一般に菌糸類は特定の成分を強く吸収する性質があり、アーバスキュラー菌根菌については、リンを強く吸収します。

これらにより、菌根菌を通じて植物はリンをよく吸収できるようになります。

また、リンの他にも水分の吸収をよくしたり、植物が病気にかかりにくくなったりする働きもあります。

病気にかかりにくくなる理由は、必ずしも分かっていませんが、菌根菌が侵入する事により植物が免疫機能を持ったり、植物内のリン濃度が高まることにより代謝が活発になったりする、と考えられているそうです。

なお、前回の根粒菌については相性の善し悪しが激しく、特定のマメ科植物に対して特定の種類の根粒菌しか共生しないと述べましたが、これに比べアーバスキュラー菌根菌はおおむね好き嫌いなく、多くの植物と共生できます。

ただし、アカザ科(ホウレン草やテンサイ等)やアブラナ科(キャベツ、ハクサイ、ダイコン、他多数)には感染しません。

ちなみに、マメ科植物については根粒菌とアーバスキュラー菌根菌はそれぞれが干渉する事なく一つの植物に二つとも共生できるようです。
(つづく)

参考にした本
小川 眞 作物と土をつなぐ共生微生物 菌根の生態学 農文協

堀越孝雄 二井一禎 土壌微生物生態学 朝倉書店


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