現代はモノ余りの世の中と言われています。
農産物に限らず、生産物をお客様に買ってもらうのは大変です。
今や購買の研究は、経済学でなく心理学の分野となってきているとも言われています。
つまり、消費者の気持ちを知らないと商売もできないという時代。
そこで、今回は消費者心理を知ろう、ということをテーマに。
「私は自給で野菜を作っているだけで売ったりしない」という方もいるかと思いますが、消費者として、商売人の考えを知っておくのも面白いかもしれません
お客様がモノを買うときの心理的な過程については、EBMモデルと言うのがあります。
EBMというのは、以前紹介した「Evidence Based Medicine(根拠に基づく治療)」とは関係ありません。
モデルを提唱した3人の学者さんの名前の頭文字をとったものです。
このモデルでは、消費者の購買過程は次のようになります。
欲求認識→情報探索→購買前選択肢評価→購買→消費→消費後評価→処分
まず最初に、刺激が入力されることにより、欲求が認識されます。
例えば広告を見たり、お腹が減ったと意識したりして、ラーメンを食べたい、
と思います。
それから、情報を探索します。
この前、○前一丁を食べたな、とか、カップ○ードルなら買い置きがあるな、とか。
その後、選択肢を評価します。
スーパーに行ってみると、サッ○ロ一番が特売になっているけど、塩ラーメンははあまり好みではなかった、等々。
そして、これらのどれにするかを決定し、購買、消費します。
今日はちょっと、趣向を変えてサッ○ロ一番味噌ラーメンだ。
で、最後においしかったからまた買おうとか評価をします。
このような購買過程において、過去の記憶が購買行動に重要な役割を果たします。
ラーメンを買って食べたときの味や、その時に一緒に食べていた家族との会話、その製品のテレビコマーシャル、新聞に載っていた製造メーカーのニュース等々、種々雑多な情報を引き出して、吟味していきます。
従って、製造メーカー側は、お客様に(よいイメージで)記憶してもらうように、種々の認知活動を行っているわけです。
ところで、記憶の中でも、その保持期間により短期記憶と長期記憶に分類できます。
短期記憶は、受け取った情報を一時的に保管します。
あまり沢山は格納できません。
従って、短期記憶で購買行動に移ってもらうには、メッセージの内容を絞り込むことが重要となります。
だいたい、3〜4メッセージ以内とします。
また、論理的な説明よりも感覚的な語りかけの方が効果的です。
感覚も、視覚より聴覚のほうが残りやすいです。
朝市等で、威勢良く声をかけられ、ついついつられて買ってしまいます。
こういうふうに、主に短期記憶で購買するのが、衝動買いです。
一方の長期記憶の方は、大量に、かつ体系化して保存された記憶です。
長期記憶の中には、意味記憶、手続き記憶、エピソード記憶などがあります。
意味記憶とは、言葉の意味についての記憶
手続き記憶とは、技能やノウハウ等に基づく記憶(自転車の乗り方など)
エピソード記憶とは、実体験による記憶です。
このうち、農産品の購入には手続き記憶を利用することが有効とされています。
体験型農場のようなものが流行するのも、こう言ったことが関係しているのかもしれませんね。
参考にした本
後久博 農業ブランドはこうして創る-地域資源活用促進と農業マーケティングのコツ ぎょうせい
杉本徹雄編 新・消費者理解のための心理学
福村出版
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