2010年2月25日木曜日

土壌と肥料、その2

前回(土壌と肥料、その1)では土壌図で、自分の農地の地質を確認することについて述べました。

ですが、実際に土を掘ってみると、より詳細に土の様子が分かります。

この文章を書くにあたって、私も掘ってみました。

表面から15cmくらいまでが作土の黒い土で、このあと帯状に黄色いような白いような粘土層が現れ、さらに黒っぽい粘土になりました。

50cmくらいそのままで、その後暗きょのようなものにぶつかって慌てて元に戻しました。

暗きょとは、排水を良くするために地下に埋めたパイプの水路です。

農地はご近所さんに借りているので、暗きょが出てくるくらい深く掘ったことがばれると怒られそうです。

といいつつ、朝のうちで誰も見ていないのをいいことに、隣の農地まで掘ってみました。

ここは、私が借りているご近所さんが自分で管理しているところです。

こっそり掘ってみると、表面から25cmくらいまでが作土の黒い土で、この部分は私の管理しているところより深かったです。

このあと、ちょっと固い層がありました。見た目は、私のところと同じような黄色い粘土層と黒っぽい土でしたが、私のところよりはだいぶ硬かったです。

さらに深く掘り進むと土の色が徐々に暗灰色から乳白色に変わっていきました。

60?70cmくらいまで掘って、きりがないのでやめてました。

さて、このような違いが出たのは、管理の仕方が違うからです。

私は不耕起栽培をしており、ご近所さんはしょっちゅうトラクターで耕しています。その結果、このような差がついたものと思われます。

ということで長い前置きでしたが、今回は通常の耕起栽培と不耕起栽培での肥料の効き方の違いについて考えてみたいと思います。

不耕起栽培とは、文字通り水田や畑を耕さないまま作物を栽培する方法です。

前の作物の収穫した残さはそのままマルチ代わりに畝の上においておいたり畝間の通路に敷いたりします。

また、刈り取った作物の根も残ったままです。

これらの残さは分解がゆっくりと進むため土の中の腐植分が多くなります。

腐植分は黒色をしており、ご近所さんの土が乳白色だったのは腐植分が少なく、私のが暗灰色だったのは腐植分が少ないため、と思われます。

 なお、最表面の作土の部分がご近所さんの方が深かったのは、耕してふかふかになったからで、雨が降ると締まって同じくらいになると思います。

腐植分は末端にカルボキシル基-COOHや、フェノール基-OHを多数持っていますが、これらは水素イオンを放出してマイナスに帯電し、肥料成分を吸着させやすくします。

そして肥料成分は吸着状態から一部が土の中の水に溶け出して植物に吸われます。

もしも肥料分が多すぎた場合、腐植分が上記のような機構で腐植分に吸着されるため、障害が出にくくなります。

これらは、イオン交換容量・・・CEC(塩基置換容量)とか、AEC(酸置換容量)とかいう指標で表されます。

さらに不耕起栽培では、植物残さが残っているので分解する都度肥料分が溶出していくので肥料成分が少しずつ供給されるような状態になりやすいです。

よく有機質肥料はゆっくりと効くといいますが、このような状態です。

これらは不耕起栽培の優れた点であり、通常の栽培ではこのような機能を補うために、堆肥を多量に使うことになります。

ただし、不耕起栽培では、土の状態が圃場によって大きく違うために、肥料分をいくら投入すればよい、という指針が出しにくい面があります。

さらに、植物残さや腐植分等が多様に存在しているために肥料成分の効き方も複雑になります。

分解の仕方が温度や水分によっても変わってきますので。

ということで、不耕起栽培は肥料成分一つとっても難しいながらもやりがいのある農法ではないかと思います。

今回参考にした本



難しい内容をとても分かりやすく解説してある良書でした。

生井兵治 相馬暁 上松信義 農業科学基礎 農文協

農業高校の教科書です。名前のとおり、農業を行う上での基礎的な内容が書かれており、一から農業の勉強をするのに最適です。



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